演題

RS2-106-18-3

Single port Kugel-TEPによる新しい両側鼠径ヘルニア根治術

[演者] 北里 憲司郎:1
[著者] 小澤 広輝:1, 尾戸 一平:1, 吉川 貴久:1, 清水 裕智:1, 矢部 信成:1, 村井 信二:1
1:荻窪病院 外科

両側鼠径ヘルニアに対し,直視下に腹膜前腔の剥離を行う従来のKugel法と,内視鏡下に腹膜前腔の剥離とヘルニアの処理を行うTEPの利点を最大限に活用した新しい手術術式:Single port Kugel-TEPを考案し,2010年4月より107例に施行した.この両側鼠径ヘルニア根治術の手術手技,術後成績について動画を用い報告する.
【術式概要】
ヘルニアの片側に対し,通常のKugel法にてヘルニアの処理を行い,Kugel patchを挿入するだけの状態にしておく.ここでこの創部よりlap-protector(S)を腹膜前腔に挿入.気腹を行い対側のヘルニアをTEPの要領で内視鏡下に処理し,対側の腹膜前腔にKugel patchを挿入.鏡視下に3針縫合固定.気腹終了後,最期に同側のKugel patchを挿入し閉創する.
【結果】
平均手術時間99分,平均術後在院日数2.0日.これまでに再発例を3例(2.80%)に認めている.初期の24例はKugel patchの固定を行っていなかったが,2例にmeshの頭側へのslipに伴う再発を認めたため,後期の83例は鏡視下に3針縫合固定を行っており,再発は1例(1.20%)のみとなっている.合併症は15例(14.0%)にseromaを認め,9例(8.4%)に対し穿刺を行った.
同時期に施行した片側ヘルニアに対する前方アプローチは843例であり,9例(1.09%)に再発を認めた.
後期の83例と前方アプローチと比較すると手術時間は長いものの,術後在院日数,再発率,合併症に関し有意差は認めなかった.
また固定にタッカーを使用しないため,材料費ベースでのコストもTAPPと比較し,TAPP117800円,Kugel-TEP48000円,と69800円節約可能である.
【結語】
TEPの最初の難関である腹膜前腔への到達を容易にし,Kugel法の欠点である視野不良を腹腔鏡で補える本術式は合理的な術式であり,手術時間,再発率ともに十分に認容可能と考えられた.約3cmの皮切のみで両側鼠径ヘルニアの治療が可能であり整容的にも,また医療経済面でも優れた術式であると考えられた.
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