演題

RS2-105-18-6

腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復手術における当科の工夫

[演者] 雪本 龍平:1
[著者] 岡田 一幸:1, 三木 宏文:1, 徳山 信嗣:1, 斎藤 明菜:1, 小西 健:1, 太田 英夫:1, 横山 茂和:1, 福永 睦:1, 小林 研二:1
1:兵庫県立西宮病院 外科

近年,鼠径ヘルニアに対して腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(Trans abdominal pre-peritoneal repair:以下TAPP)が普及している.その背景には術後疼痛が少ない点・腹腔内からの観察による確実な診断,対側病変や複合病変の有無の確認ができる点が挙げられる.しかしその一方で,再発率はクーゲル法0.7%・mesh plug法1.3%に対してTAPP3.0%と満足のいく結果が得られていない
(第13回内視鏡外科手術に関するアンケート調査).その一つの要因として,TAPP手術は術者間・症例間の差が出やすいことが挙げられている.そこで当科では,再発率を減少させるために,剥離範囲とmesh留置方法を定型化することで術者間・症例間の差を減らす努力を行なっている.2016年4~11月の間に当科で施行したTAPPは,76例その内14例で下記の方法を採用して手術を施行した.
剥離範囲の視認性向上:ヘルニアtypeに関わらず,剥離範囲のメルクマールを規定する.腹膜剥離範囲は,内側を腹直筋内側縁・外側縁を上前腸骨棘とする.腹側は,視認できるメルクマールに乏しく,さらに鉗子の可動性・カメラワークの難しさから手技の難度が高く,腹膜剥離が不十分になりやすい.剥離が不十分な場合,meshの位置がヘルニア門より十分距離を確保できず,再発率の増加につながる恐れがある.その点を考慮し,当科では腹膜切開前に,ピオクタニンにてヘルニア門から3cm外縁にマーキングを行い,腹側の剥離目標を明確にしてから腹膜切開・剥離を開始するようにしている.
mesh留置時の工夫:当科では全例Folding Mesh︎を使用している.Folding meshは14×10cmと大きく,カバーできる範囲が広い.その一方でたわみや歪みが生じやすく,再発の原因となる.その点を考慮し,あらかじめmeshに十文字のマーキングを行い,meshにマーキングをつけることで,たるみや歪みを視認しやすくしている.さらに縦のラインが下腹壁動静脈に一致・横のラインがIPtractに平行になるように固定している.この2点を確認した上で,タッキングを行う.タッキング方法に関しても,まず下腹壁動静脈の左右を固定した上で,腹直筋内縁2箇所・meshの外側2箇所・クーパー靭帯2箇所施行している.
まとめ:上記方法を採用した14例の中で現在再発症例はなく,良好な治療成績を得られている.手術動画を供覧するとともに治療成績に関しても報告する.
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