演題

RS2-105-18-5

当院における鼠径ヘルニアに対するTransabdominal preperitoneal Repair法の工夫と変遷

[演者] 大西 直:1
[著者] 安達 慧:1, 高 正浩:1, 野中 亮児:1, 山本 和義:1, 藤江 裕二郎:1, 橋本 和彦:1, 藤田 正一郎:1
1:NTT西日本大阪病院 外科

【目的】当院におけるTransabdominal preperitoneal repair(TAPP)法を提示し,根治性,安全性,低侵襲性を高めるための工夫と変遷をについて論じる.【術式と変遷】術式の要点と変遷を供覧する.1)根治性.十分な剥離範囲とメッシュの被覆範囲を確保することが重要と考え,剥離範囲は,内側:正中線あるいはそれ以上,外側:外側三角を被覆,腹側:ヘルニア門上縁より3センチ以上,背側:クーパー靭帯の背側までを剥離の指標とした.このために初期には腹膜切開の範囲を内側臍ひだ近傍から上前腸骨棘近傍まで大きく行った.また肥満例ではエンドグラブによる内側臍ひだ牽引の併用も試みた.しかし最近では内鼠径輪をくり抜くような小範囲の切開で十分に剥離を行う手技へと変遷しつつある.2)安全性.確実に剥離層に入るために, 内鼠径輪外側で腹膜と腹膜前筋膜深葉の間に入る,そして内側臍ひだ外側で腹膜前腔へ入る, の2つのポイントを重視して腹膜剥離を進めている.層を認識するためにヘラ型電気メスによる剥離操作が適していると考え使用してきた.最近では利便性を考えてこれにモノポーラーシザーズによる焼灼切開も併用するようになった.3)低侵襲性.当初は臍部にカメラ用12mmポート,両側腹部に5mmポートを使用した. それでも従来の鼠径部切開前方アプローチ法に比べると鎮痛剤の使用回数は減少したが,臍部の創が最も痛むことをに鑑み最近では臍部にオプティカル法を用いた5mmポートを導入,このために縫合糸とガーゼを変更した.この結果初期よりもさらに鎮痛剤の使用頻度は減少した.4)ステレオアプローチ.当院では腹膜剥離操作,確実なタッキングのために有利であると考えて左則腹部ポートからの剥離,切開,タッキング操作も積極的に取り入れている.【手術成績】2011年11月から2016年7月までのTAPP連続172例の手術時間(1側あたり),出血量,入院期間の中央値はそれぞれ87分,3gr,4日であった.術当日から3日までの鎮痛薬総使用回数は0(0-6)回であった.外科治療を要する合併症としてイレウス2例,臍部ポートサイトヘルニア1例,膀胱損傷を1例経験した.再発は1例(0.6%)に認めた.【結語】当院のTAPP法においては根治性,安全性を考慮した術式の構築と低侵襲性,利便性を求めた変遷があった.
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