演題

SY07-8

消化器外科術後回復能力強化プログラムにおける周術期不安軽減と回復意欲の励起

[演者] 鷲澤 尚宏:1
[著者] 宮田 剛:2
1:東邦大学 医学部 臨床支援室, 2:岩手県立中央病院外科

経験的に行われてきた周術期管理の中に,行う必要のないこと,または,行ってはいけないことが含まれている可能性が指摘され,その要否が検証された結果,ERASプロトコールTM などの術後回復力強化を目的とした周術期管理が普及してきた.侵襲反応を軽減し,蛋白異化の亢進を制御する方法は,術式の改良,麻酔法の改良,術直前のステロイド投与など手術侵襲を軽減する工夫で考案されてきたが,栄養状態が悪い患者の術前栄養管理は手術を延期してでも行われるようになった.我が国の日本静脈経腸栄養学会をはじめ,欧州や米国の学究的団体では重症患者でも腸管を使用すべきであるという治療方針を確立し,早期経腸栄養や早期経口摂取が患者の早期回復を促すことは明確になっているが,十分な栄養素が投与される前に静脈栄養を併用するか否かはいまだに議論があり,結論を見ていない.ERASプロトコールTM 型管理ではPain(疼痛)をなくし,Gut dysfunction(消化機能不全)とImmobility(術後不動)からの回復を早期から促進させることとなっているが,これを有効に働かせるには,術前の十分な説明と身体を使ったシミュレーションが大切であり,生体反応の軽減をはかり,身体活動性の早期自立と栄養摂取の早期自立でなければ効果を得にくい.日本外科代謝栄養学会では実質的効果を生むための取り組みとして術後回復促進のためのESSENSE(ESsential Strategy for Early Normalization after Surgery with patient's Excellent satisfaction)を進めているが,その大切な要素のひとつとして,周術期不安軽減と回復意欲の励起を掲げ,患者の「納得」「理解」に加え,「満足」を獲られる方法を試みた.目標目的が明確になれば,満足は想定した目標に近づいたときの充足感で得られる可能性がある事を利用し,患者の理解度,心理状況に関する指標と実際の行動指標を作成し,それぞれの因果関係が理解されやすい評価ツールとして,「エッセンス日記」を使用した術後管理を行った.予定の事柄が予定の日付にできているかどうかの評価を確かめながら,医療スタッフと患者サイドが一体となって術後管理が行われたとき,総合的な治療効果へと繋がっていくと考えられる.
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