演題

RS2-105-18-3

タッキング不要なプログリップメッシュを用いたTAPPによる腹腔鏡下ソケイヘルニア修復術

[演者] 中野 達夫:1
[著者] 宮永 章平:1, 尾島 英介:1, 道輪 良男:1
1:浅ノ川総合病院 外科

【背景】当科では,1995年にTAPPによる腹腔鏡下ソケイヘルニア修復術を導入して以来,301例に施行してきた.ごくまれに,術後ソケイ部付近の疼痛を訴える症例を認め,タッキング不要なプログリップメッシュTMの使用を開始した.【目的】プログリップメッシュTMは,メッシュの貼布に際し,メッシュの展開が困難であることなど,その使用にはいくつかの注意点が必要である.実際の手技について報告する.【手術手技】3トロッカー法で行っている.臍直上にopen methodにて10mmトロッカーを挿入し,気腹の後に,両側腹部に5mmトロッカーを挿入.両側ソケイ部のヘルニア門を十分に観察.ヘルニア門でヘルニア嚢を電気メスあるいはLCSにて環状に切離.腹膜前腔の剥離を十分に行う.剥離範囲の縦,横の距離を測定し,内側縁から下腹壁動静脈までの距離も測定する.剥離範囲に合わせてメッシュのトリミングを行う.メッシュにiliopubic tractを想定したラインを引く.生食でメッシュ全体を湿潤させる.iliopubic tractを想定したラインに向かい,上端,下端からメッシュを組織貼布面が外側になるように巻き込む.この際10mmトロッカーからメッシュが入るようにできるだけ細く巻き込む.巻いたメッシュの下腹壁動静脈の位置にマーキングを行う.腹腔鏡観察下にメッシュを挿入,メッシュの内側縁を予定貼布部の内側縁に誘導し,iliopubic tractの走行に重なるように置く.その際下腹壁動静脈のマークが動静脈の位置に一致するように誘導する.巻いたメッシュを上方,下方に拡げることで,意図した範囲がメッシュで覆われる.吸収糸で腹膜の縫合閉鎖を行う.【成績】4例にプログリップメッシュTMを用いたTAPPによる腹腔鏡下ソケイヘルニア修復術を施行した.男性3例,女性1例,年齢は59~88才平均75.8才,診断は左外ソケイヘルニア1例,右外ソケイヘルニア1例,右内ソケイヘルニア1例,右内外,左外を併発した両側ソケイヘルニア1例であった.手術時間は47~110分,平均72.5分,メッシュのサイズは横11~13cm,縦7.5~9cm.術中,術後合併症を認めず,全例術後3~4日目に退院した.術後鎮痛剤使用回数は0回2例,1回2例で,ソケイ部の疼痛を訴えた症例はなかった.【結論】プログリップメッシュTMを用いたTAPPによる腹腔鏡下ソケイヘルニア修復術は,タッキングが不要であり,術後疼痛予防に有用であると考えられた.実際の手術手技を供覧する.
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