演題

RS2-105-18-2

大網が脱出した非還納性鼠径部ヘルニアに対するTAPP法

[演者] 山本 海介:1
[著者] 里見 大介:1, 森嶋 友一:1, 豊田 康義:1, 利光 靖子:1, 福冨 聡:1, 榊原 舞:1, 土岐 朋子:1, 守 正浩:1, 石毛 孔明:1
1:千葉医療センター 外科

【背景】当科では2007年から鼠径部ヘルニア専門外来を開設し鼠径部ヘルニアに対して専門化されたスキルと知識による治療を行ってきた.2016年12月14日まで行われた症例数および病変数は1687症例1908病変であった.2012年より腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術を導入し同時期までに471症例626病変に対し腹腔鏡手術を行った.鼠径部ヘルニアに対する腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術の適応は,施設により様々であるが技術レベルによりその適応に違いが生じる.非還納性鼠径部ヘルニアも腹腔鏡下手術の適応内に含めるかどうか議論のあるところであるが,十分な技術レベルがあれば可能な症例も存在する.今回,当科で行った大網の非還納性鼠径部ヘルニアに対するTAPP法について検討を行った.【対象】2007年から2016年12月14日までに行った腹腔鏡併用手術を含む腹腔鏡下手術12症例13病変.【結果】平均年齢60.2歳,男:女=9:3.日本ヘルニア分類(以下,JHS分類)Ⅰ-2/Ⅰ-3/Ⅱ-1/Ⅱ-3/Ⅲ=5/4/1/1/2.腹腔鏡下手術完遂例は10例,修復は腹腔内で行い大網の剥離を行うために鼠径部に小切開を行ったものが1例,両側非還納性症例で気腹不良により腹腔鏡補助下鼠径部切開法にconversionしたものが1例2病変という結果であった.腹腔鏡下手術完遂例の1例は,再々再発症例であり前回留置されたメッシュとメッシュの間にorificeが存在するJHS分類Ⅱ-1型の複雑な症例であった.再発症例を除いた腹腔鏡下手術を完遂した9例の平均手術時間は,150.6分であった.合併症については,腹腔内における後出血はなく,穿刺吸引が必要な漿液腫もなかった.また,手術とは無関係な急性重症膵炎を1例に認めた.現時点で再発はなかった.【考察】大網の非還納性鼠径部ヘルニアは,JHS分類のⅠ型に多い傾向にありⅡ型やⅢ型でも認められたが,手術の難易度はJHS分類ではなく大網の腹腔内への還納の困難さに依存すると考えられた.特に,大網がヘルニア嚢内に高度に癒着している症例では還納は非常に困難であり,場合によっては鼠径部の小切開創から直視下に剥離する必要があった.大網の非還納性の症例で最も問題となるのは,大網を腹腔内に還納する際の大網の損傷による出血である.現在までの経験から,ヘルニア嚢を盲端方向に切開を加えヘルニア嚢を腹腔内に引き出しながら大網の陥入を解除および剥離することが大網を安全に腹腔内に還納するコツと考えられた.以上につきビデオを供覧し報告する.
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