演題

RS2-105-18-1

TAPP術後漿液腫発症とヘルニア嚢全切除の関連性

[演者] 阿部 智喜:1
[著者] 御井 保彦:1, 小濱 拓也:1, 浦出 剛史:1, 村田 晃一:1, 沢 秀博:1, 万井 真理子:1, 岡 成光:1, 岩谷 慶照:1, 黒田 大介:1
1:北播磨総合医療センター 外科・消化器外科

【はじめに】腹腔鏡下ヘルニア修復術(TAPP;transabdominal pre-peritoneal repair)後に認める漿液腫は疼痛,鼠径部緊満感等により患者の術後QOLを損ねるだけでなく,長期間にわたり症状が持続すれば,我々医療従事者側にとってもストレスが大きい問題となる.TAPPでは大きなヘルニアの場合,ヘルニア嚢の全切除が困難な場合も多い.かねてよりヘルニア嚢を遺残することが漿液腫の原因となりうると言われているが,実際に検討された報告は少なく,このたび残存したヘルニア嚢が漿液腫の原因となり得るか検討した.
【対象と方法】2014年1月から2016年11月までに当院で手術施行したヘルニア227病変を対象にヘルニア嚢が遺残した群(100病変)とヘルニア嚢を全切除した群(127病変)に分類し,漿液腫発生について後方視的に検討した.
【結果】全体で37病変(16.3%)に漿液腫が発生した.遺残群で28病変(28.0%),全切除群で9病変(7.1%)であり,遺残群で有意に術後漿液腫発生率が高かった(p=0.0009).また外鼠径・内鼠径ヘルニアに分けて検討すると,いずれもヘルニア嚢を全切除することで漿液腫の発生が有意に少なくなった(外鼠径ヘルニア 21.4%:4.1%, 内鼠径ヘルニア 43.3%:11.1%(遺残群:全切除群))
【考察】 TAPP後の漿液腫の予防にはヘルニア嚢を全切除することが重要である.IEHS(international endohernia society)のガイドラインでは,外鼠径ヘルニアではヘルニア嚢全切除,内鼠径ヘルニアでは横筋筋膜を反転させることが漿液腫予防につながると述べられているが,本検討を踏まえると,外・内鼠径ヘルニアいずれにおいてもヘルニア嚢全切除が重要であると考えられる.ヘルニア嚢全切除のためには解剖の理解,正しい層での剥離,左手鉗子での牽引が平素以上に重要であり,それにより血腫・血管損傷などの合併症を引き起こすことなくヘルニア嚢全切除が可能となる.当科での検討と手術手技についてビデオ供覧を交え発表する.
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