演題

RS2-104-18-3

前立腺癌術後鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP)

[演者] 福田 啓之:1
[著者] 鈴木 弘文:1, 岡屋 智久:1, 唐木 洋一:1, 中村 祐介:1, 三島 敬:1, 越川 尚男:1, 太枝 良夫:1, 山本 和夫:1, 山森 秀夫:1
1:済生会習志野病院 外科

【諸言】前立腺癌術後には鼠径管後壁を構成する横筋筋膜背側の領域に手術操作による強い炎症性変化が存在することによって剥離操作の難しい状態になっておりTAPPは困難とされている.当院では2014年4月に鼠径ヘルニアに対してTAPPを導入し良好な成績を得ており症例を重ねたうえで2016年11月から前立腺癌術後鼠径ヘルニアに適応拡大しているので症例ごとに手術手技をビデオ供覧する.【手術手技】副損傷を来さないことと確実な補強を行うことにより留意する.まず癒着の少ない外側背側の剥離を先行し操作スペースを確保しつつ,後の腹膜閉鎖の縫い代も意識して十分に剥離しておく.その視野のままで性腺血管,精管の壁在化を行い確実な温存を図る.次いで癒着のある内側腹側の剥離を行う.膀胱の損傷を避けるため腹壁寄りの深い層で剥離するがその背側は死冠の損傷をさけるため無理をせずクーパー靭帯を完全には露出しない程度の剥離にとどめる.炎症性変化により組織が固くなっているので鈍的剥離困難な部位は境界を見定めて鋭的に切離する.深い層での剥離になるため下腹壁血管の温存にも留意する.腹膜は可及的に多く残すようにし内側臍襞も用いて縫合閉鎖する.【症例1】前立腺癌術後7年,腹腔鏡下低位前方切除術後9か月.左JHS I-2.内側,腹側の癒着性変化が高度で剥離に難渋した.3D MAX Mサイズ留置し腹膜は内側臍襞も用いて縫合閉鎖した.手術時間:112分,出血量:少量.術後1病日で退院した.血腫を認めるも保存的に軽快した.【症例2】前立腺癌術後5年.腹腔鏡下右半結腸切除術後5か月.左JHS I-2.癒着性変化は中等度であった.3D MAX Mサイズ留置し腹膜は3回に分けて閉鎖した.手術時間:92分,出血量:少量.術後1病日で退院した.合併症は認めなかった.【症例3】前立腺癌術後11年.左JHS I-2.癒着性変化は比較的軽度であった.3D MAX Mサイズ留置し通常通り腹膜閉鎖した.手術時間:59分,出血量:少量.術後1病日で退院した.合併症は認めなかった.【結語】前立腺癌術後鼠径ヘルニアに対するTAPPは炎症性癒着性変化を認めるも安全に施行可能であった.前立腺手術からの期間や下腹部手術歴の有無により癒着の程度は様々であり術後期間が長ければ繊維性癒着が軟らかくなり難易度が下がる可能性がある.
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