演題

RS3-115-6-5

脾動脈分岐解剖から見た腹腔鏡下膵切除のアプローチ

[演者] 野垣 航二:1
[著者] 村上 雅彦:1, 青木 武士:1, 山田 宏輔:1, 松田 和宏:1, 古泉 友丈:1, 藤森 聰:1, 榎並 延太:1, 渡辺 誠:1, 大塚 耕司:1
1:昭和大学病院 消化器・一般外科

はじめに)膵臓は後腹膜臓器であり解剖学的に術野の展開が容易でないこと,囲に主要血管が存在しており,また症例によっては膵炎を合併していることより,高度な手技が要求される手術となる.教室では術前シミュレーションとして腹腔鏡視点に基づく3次元仮想内視鏡画像をSYNAPSE VINCENTにより作成し,安全で正確な腹腔鏡下膵切除を施行できるよう努めている.(対象)2008年2月から2016年10月に腹腔鏡下膵切除術を施行した42例のうち腹腔鏡下膵体尾部切除を施行した30例を対象とした.(方法)全例,3次元仮想内視鏡画像による術前シミュレーションを施行した.これを基に脾動脈と膵実質の位置関係を術前に把握し,膵上縁を屈曲し走行するType A,膵背側を直線的に走行するType Bに分類した.原則的には 脾動脈処理はType Aは腹側アプローチを,Type Bは背側アプローチを選択.また脾動静脈の細分枝も可能な限り詳細にシミュレーションした.(結果)開腹移行症例は無く,術式は脾合併膵体尾部切除(LDP)26例,脾温存膵体尾部切除(LDPPS)4例であった.平均年齢はLDP/LDPPS 66/54歳,性別(男/女)LDP 7/19, LDPPS 0/4,腫瘍径39/43mm,腫瘍局在(体部/尾部/体-尾部)LDP 13/8/4 LDPPS 0/2/2,手術時間 176/211分,出血量 159/157gであった.脾動脈の走行は Type A 24例 (80%) で Type B 6例 (20%) であり,術前のシミュ レーション通りのアプローチが可能であったのは,Type A:腹側アプローチ(19例),Type B:背側アプローチ(6例)であった.手技的にはTypeAで腹腔鏡用デシャン鉗子が有用であった.術後膵術瘻 (ISGPF) は,LDP群はGrade A 2例,Grade B 3例,LDPPS群はGrade A 0例,Grade B 2例に認められた,いずれもGrade Cは認めなかった.Clavien-Dindo 分 類 Grade3b 以上の術後合併症は認めなかった.術後平均在院日数はLDP/LDPPS 16/25日,周術期関連死亡は認めなかった.(結語)3次元仮想内視鏡画像を用いた術前シミュレーションにより主要血管・細枝の3次元把握を行うことで安全なアプローチ選択・切離が可能となった.特に脾温存膵体尾部切除においては脾動静脈の細分枝評価が重要と思われた.
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