演題

RS3-115-6-4

安全な腹腔鏡下尾側膵切除術の手技の要点と短期成績

[演者] 松本 逸平:1
[著者] 川口 晃平:1, 松本 正孝:1, 村瀬 貴昭:1, 亀井 敬子:1, 里井 俊平:1, 中居 卓也:1, 竹山 宜典:1
1:近畿大学医学部 肝胆膵

【目的】腹腔鏡下尾側膵切除(LAPDP)は低侵襲かつ整容性に優れる術式であるが,開腹手術に劣ることなく根治性,安全性が担保されなければならない.特に術中出血と術後膵液瘻は本術式の安全性に関わる重要な因子と考える.当施設では2014年6月よりLAPDPを本格的に導入し,良好な短期成績を得ている.
当施設での手術手技のポイントを提示し,短期成績を報告する.
【手技の要点】出血例や困難例ではHALS併用術式や,脾臓温存術式では脾動静脈温が困難な場合,Warshaw手術や脾合併術式へのコンバートを常に念頭に置いておく.脾臓温存の有無に関わらず,まず膵体尾部を脾動静脈とともに早期にtapingを行う.Tapeを牽引することにより,適切なカウンタートラクションのもと,良好な視野で手術操作を行う.さらに不測の出血時にも対応可能である.膵切離は,RCTにて膵液瘻(POPF)低減の有用性が証明された吸収性組織補強材付自動縫合器(リンフォーストライステープル,Covidien社)を使用している.膵を十分授動し,10分以上かけて膵を切離する.
【対象と方法】2014年6月から2016年11月までLAPDP施行28例.年齢中央値64歳,男女比7/21,BMI中央値は23.0kg/m2であった.対象疾患の内訳はIPMN8例,PNET7例,MCN3例,SPN2例,その他8例で,術式は脾合併切除DP17例(うちHALS併用3例),脾温存DP11例(うちWarshaw手術2例)であった.腫瘍径3.0cm,切離部の膵の厚み13mm(いずれも中央値),全例soft pancreasであった.
【結果】手術時間中央値319分,出血量中央値93mlであった.ISGFPによるPOPFは,なし10例(36%),grade A 17例(61%),grade B 1例(4%),grade C 0(0%)例であった.再入院は,1例で術後6ヶ月目に仮性膵嚢胞に対し内視鏡的経胃ドレナージを要した.Clavien分類III以上の合併症は上記2例(7%)であった(IV,Vはなし).術後在院日数中央値は11日であった.
【結論】術中判断による術式変更と膵体尾部の早期taping,自動縫合器による膵切離により,術中出血,術後膵液瘻の制御は比較的良好で,術後短期成績もほぼ満足できる結果であった.
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