演題

RS3-115-6-2

腹腔鏡下膵体尾部切除の立ち上げに際する工夫;手技の定型化と未経験者への教育

[演者] 倉田 昌直:1
[著者] 橋本 真治:1, 高橋 一広:1, 大城 幸雄:1, 釼持 明:1, 古屋 欽司:1, 黒田 順士:1, 小田 竜也:1, 大河内 信弘:1
1:筑波大学医学医療系消化器ー移植外科

【背景と目的】腹腔鏡下膵体尾部切除術(Lap-DP)は,2012年に保険収載され一部のハイボリュームセンターが先導する形で施行されてきたが,新たな施設で立ち上げる際には多くの課題が存在する.当院では2016年より導入したが,本術式を未経験者に理解させるには既にアーカイブ化された術野ビデオを供覧することが有効であった.また安全確実な手術遂行には,術野の展開,手技(鉗子操作,体腔内縫合やエナジーデバイスの使用など)を習得してもらう必要があったが,術者全員が拡大された術野を共有することで,急速に局所解剖を詳細に把握していった.当院における手術手技と術野展開の定型化,教育用画像支援ツールの活用をビデオで供覧し報告する.
【郭清を伴わないLap-DPの手術手技】仰臥位で臍部にカメラ用port,臍左側に12mm port,左右季肋部,右側腹部に操作用portを留置する.網嚢を開放して胃を腹壁につり上げ固定する.超音波で腫瘍の位置を確認する.膵下縁より膵後筋膜の層を広く左右に開大させて十分剥離し,膵をtapingする.SMV直上で膵をトンネリングする.脾動脈はtapingして切離する.脾静脈はSMV直上で膵を離断するとき以外は膵実質と共に自動縫合器でゆっくり圧縮した後に離断している.自動縫合器を使用する際には十分に挿入できるスペースを確保し,肝動脈を巻き込んでいないかの視認を確実に行うよう徹底させている.膵体尾部を受動して最後に脾外側の腹膜を切開して標本を摘出する.術野展開にはいわゆる三点視野展開法を取り入れ,常に鉗子の軸を意識した展開を指導している.
【成績】2016年3月より当院に導入し,現在までIPMN3例,P-NET 3例,SPN 1例,膵癌1例の計8例に施行した.うち脾温存Lap-DP(Lap-SPDP)を3例に施行した.術中出血量(Lap-DP,Lap-SPDP)は172.5,0mg,手術時間は313.8,317分であった.術後合併症はISPGF grade B以上の膵瘻を3例に認め,DGEを1例に認めた.
【結論】腹腔鏡下手術を安全に遂行するための術野展開や手技の定型化は若手医師の教育には不可欠である.とりわけLap-DPは縫合や結紮の場面が少ないため導入に向いている.しかしLap-SPDPは脾動静脈温存手技の難易度が高いため修練を要する.現時点でさらに定型化が必要と考えているのは,術野の妨げとならない胃のつり上げ固定方法と膵瘻のない膵離断法である.教育用画像支援ツールの有用性に関しては今後症例を蓄積していく必要がある.
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