演題

SY07-6

肝細胞癌肝切除手術における術後早期回復プログラム導入効果の検討

[演者] 海堀 昌樹:1
[著者] 松井 康輔:1, 石崎 守彦:1, 松島 英之:1, 道浦 拓:1, 井上 健太郎:1, 權 雅憲:1
1:関西医科大学附属病院 消化器外科

【目的】当科での肝細胞癌に対する肝切除Enhanced Recovery After Surgery(ERAS)導入効果を報告する.
【方法】当科での肝癌肝切除ERASプロトコール導入による効果解析をERAS導入前130例(2008-2010年:control群)と導入後144例(2012-2013年:ERAS群)での比較検討,さらにERAS効果をさらに解析するために肝2区域切除以上術式に限定したERAS導入前24例(control拡大手術群)と導入後47例(ERAS拡大手術群)での比較検討を行った.ERASプロトコール導入は,「周術期分岐鎖アミノ酸製剤服用包括的運動療法」「術前腸管前処置廃止」,「術前絶飲食廃止および炭水化物含有経口補水手術3時間前まで服用」,「腹腔ドレーン排除」,「術後経鼻胃管留置排除」,「術翌日昼水分夜食事再開・点滴中止」,「術後疼痛管理(Painvision®による創部疼痛評価施行,硬膜外麻酔併用予防的NSAIDs投与)による歩行励行」の7項目を中心に行った.
【結果】ERAS群とcontrol群との比較において,周術期因子2群間に有意差認めず.2区域切除以上拡大手術において,背景肝が慢性肝炎もしくは硬変肝症例はcontrol拡大手術群43/47(91%),ERAS拡大手術群20/24(83%)であった.ERAS拡大手術群は有意に手術時間(mean 394 vs.506 min; p=.02)・術中総輸液量(mean 6500 vs.8025 ml; p=.03)・腹腔ドレーン留置(23/47 vs.19/24; p=.01)および術後入院期間(mean 13 vs. 16.5 days; p=.004)は短縮されていた.またERAS群はPOD1より食事開始,POD2では食事量が有意に増加(mean 53 vs. 32 %; p=.04)しPOD5まで増量,術後安定歩行(1日歩数3000歩以上)(mean 13 vs. 6 days; p=.03)も有意に早期に達成された.術後3-10日目における血清Albおよびcholinesterase値は有意にERAS群が高値を示し,血清CRP値は低値を示した.しかしERAS群は術後腹腔穿刺を24例中8例に行った,control群再穿刺なし.入院死は両群に発生せず,術後合併症発生率は両群間に差を認めず.
【考察】障害肝併存肝細胞癌拡大手術において,ERAS導入は早期離床達成による身体活動性早期自立,および腸管機能の回復促進による栄養摂取早期自立が反映され,生体侵襲反応軽減に繋がったものと推察された.これら早期自立のためには術後疼痛軽減への取り組みが必須である.腹腔ドレーン排除については再考が必要である.
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