演題

RS3-150-14-4

大腸癌肝転移に対する腹腔鏡下肝部分切除 術前評価と手術手技の工夫

[演者] 久保田 喜久:1
[著者] 大塚 由一郎:1, 片桐 敏雄:1, 土屋 勝:1, 前田 徹也:1, 木村 和孝:1, 岡田 嶺:1, 小池 淳一:1, 船橋 公彦:1, 金子 弘真:1
1:東邦大学医療センター大森病院 消化器センター(外科)

大腸癌肝転移(以下CLM)は小範囲の切除で根治性が得られると考えられており,本邦では従来肝部分切除が基本術式とされてきた.このことからもCLMに対する腹腔鏡下肝部分切除(以下LPH)の妥当性が考慮できる.一方でCLMは,原発巣手術をはじめとする腹部手術既往例が多く,時に人工肛門造設例も存在する.また,両葉多発例では個々の腫瘍に対してはLPHが適応可能であっても,全腫瘍を総括して適応を考慮すると,過長な手術時間等の問題から困難な症例も多い.当科では腹部手術既往のある症例では全例で腹部超音波検査を用いた術前癒着評価を行っており,癒着なしと判断された部位から1st.トロッカーを留置することで臓器損傷を回避する工夫を行っている.肝部分切除におけるトロッカー配置は,器具の操作性の観点から腫瘍を中心とした同心円上に留置することを基本と考えているが,腫瘍の局在と同側の人工肛門造設例ではトロッカー配置に配慮が必要となる.また,両葉多発例では左右それぞれ最も複雑な手技が予測される腫瘍を中心に配置するが,共有できるトロッカーを有効に活用することや腫瘍の切除部位に合わせてPringle用ネラトンの位置や内視鏡,操作器具用のトロッカーを適宜変更することも有効である.肝離断操作では原則的にPringle法を用いており,デバイスは,肝表層はLCS,深層では主にCUSAを使用し十分に脈管を露出しつつ,鉗子で「脈管の裏をとる」手技を行った後にsealing deviceやクリップで処理を行う.腫瘍の局在によっては足側marginをやや遠めにとり,底部への角度を浅くすることで腫瘍底部のmarginが確保し易くなる.1993年のLPH導入以降,Clavien-Dindo分類 grade III以上の周術期合併症は胆汁瘻1例で,OS,DFSともに開腹下部分切除例と差はなかった.術前画像評価や適切な肝離断操作を行うことで,CLMに対するLPHは安全性,根治性が維持され,許容できる術式と考えられた.
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