演題

RS3-149-14-4

当科における完全鏡視下肝離断の実際と工夫

[演者] 徳光 幸生:1
[著者] 坂本 和彦:1, 徳久 善弘:1, 飯田 通久:1, 鈴木 伸明:1, 武田 茂:1, 吉野 茂文:2, 硲 彰一:3, 上野 富雄:1, 永野 浩昭:1
1:山口大学大学院 先端分子応用医科学講座(消化器・腫瘍外科学), 2:山口大学附属病院 腫瘍センター, 3:山口大学医学部 先端がん治療開発学

【はじめに】
安定した腹腔鏡下肝切除を行うためには,出血制御のための優れたエネルギーデバイスの使用法と肝実質切離における展開の工夫が必要となる.現在我々が行っているソフト凝固2台併用法による肝離断と肝切離面展開の工夫をビデオで供覧する.
【方法】
手術デバイスはVIO systemのmonopolar(IO電極)によるソフト凝固に加え,Surgical Tissue Management systemのESG-400をソフト凝固モードでCUSAに接続(ソフト凝固併用CUSA)し,ソフト凝固デバイス2台を術者が使用して肝離断を行っている.ソフト凝固併用CUSAではdryな術野を維持しつつ脈管を残して実質破砕が可能であり,残った微細脈管をIO電極で確保,焼灼した後に切離することで不用意な出血を回避できる.また本法では,出血時にもデバイスの持ち替えることなく,すばやく両デバイスで止血が可能である.さらに最近では,デバイスの使用法のみでなく肝切離面展開の工夫も併せて行っている.弾性のあるシリコン製血管テープをリング状にして肝実質に縫合固定しこれを体外へ牽引して肝切離面を展開することで,過度な牽引力が切離面に加わることなく安定した肝切離面展開維持が可能であると同時に,エネルギーデバイスが展開維持から解放され自由度が増すことにより手術効率の向上に寄与すると考えている.このような展開の工夫は,系統切除における肝静脈を露出する面での肝実質切離では特に重要と考えている.
【結果】
2005年1月~2016年12月までに腹腔鏡下肝切除を146例施行し,その内71例に完全鏡視下肝切除術を施行した.特に2015年からは45/52例(86.5%)に完全鏡視下肝切除術を行っており,2016 年4 月からは保険収載を受けて尾側亜区域切除(S5/6領域)を5例行っている.他臓器合併切除例を除く完全鏡視下肝切除例を前期24例(2009~2014年)と後期42例(2015年~)の2群に分けて比較検討したところ,Difficulty Score(平均)[前期: 3.3,後期: 4.2 ]は後期が有意に高値であったが(p<0.05),手術時間(平均)[前期: 321分,後期: 305分],出血量(平均)[前期: 184ml,後期: 95ml] で差を認めず,また胆汁漏は両群とも認めなかった.
【考察・結語】
デバイスの進歩と肝離断の工夫によって,比較的難易度の高い症例においても安定した完全鏡視下肝切除を行うことが可能となった.
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