演題

SY07-5

膵頭十二指腸切除術における臨床試験の結果に基づいたERASの実践

[演者] 清水 敦史:1
[著者] 川井 学:1, 廣野 誠子:1, 岡田 健一:1, 宮澤 基樹:1, 北畑 裕司:1, 上野 昌樹:1, 速水 晋也:1, 宮本 篤:1, 山上 裕機:1
1:和歌山県立医科大学附属病院 消化器外科・内分泌・小児外科

【目的】膵頭十二指腸切除術(Pancreatoduodenectomy; PD)において術後回復能力強化プログラム:Enhanced Recovery After Surgery (ERAS)は術後合併症の軽減,術後在院日数の短縮を目指して適応されている.しかし,ERASの個々の周術期管理のエビデンスレベルはいまだ低い.今回PDのERASにおける周術期のリハビリテーションと輸液制限の意義について検討を行った.
【周術期リハビリテーション】方法:2009年よりPD症例に対して周術期リハビリテーションを導入した.2003年から2014年にPDを施行した576例を対象とし,リハビリ導入前後の2群(リハあり群:245例,リハなし群:331例)において,術後合併症,在院死,入院期間を比較検討した.結果:両群間において全合併症率に差はなかったが,呼吸器合併症は,リハビリ導入により有意に減少した(リハなし群11例 (4.5%) v.s. リハあり群3例(0.9%); P=0.006).さらに入院期間に関してもリハビリ導入により有意に短縮した(リハなし群:24日(7-223日)v.s. リハあり群:16日(5-130日); P <0.0001).
【周術期輸液制限】方法:術後の組織浮腫軽減を目的として,2013年より目標指向型輸液管理Goal-directed fluid therapy(GDFT)を適応した.2013年1月から2014年10月までにPDを行った制限輸液群100例と,それ以前の従来輸液群100例を比較検討した.周術期組織浮腫のパラメーターとして術前後のCTにおける膵腸吻合部の挙上腸管,腹壁,および体幹の厚さの術前後の差を計測した.結果:両群間において全合併症率に差はなかったが,膵液瘻発生率は制限輸液群において有意に減少した(従来輸液群 16% v.s. 制限輸液群 7%; P =0.046).Clavien-Lindou Grade3以上の合併症発生症例は発生しなかった症例と比較し,術後の体幹の厚さが有意に増加した(+7.5mm v.s. +1.9mm; P =0.013).
【結語】PD周術期リハビリテーションは呼吸器合併症を軽減し,輸液制限は組織浮腫軽減を抑制し,術後重症合併症を減少させた.ERASにおける周術期のリハビリテーションと輸液制限の実践はPD術後アウトカムを改善する.
詳細検索