演題

RS3-149-14-1

当院の安全性を意識した腹腔鏡肝切除術の工夫

[演者] 桂 宜輝:1
[著者] 武田 裕:1, 大村 仁昭:1, 阪本 卓也:1, 内藤 敦:1, 村上 剛平:1, 賀川 義規:1, 竹野 淳:1, 加藤 健志:1, 田村 茂行:1
1:関西労災病院 外科

【背景】腹腔鏡下肝切除術は低侵襲性と整容性に優れ,2010年4月に部分切除及び外側区域切除が保険収載,2016年4月には2及び3区域切除まで適応拡大され,急速に普及している.一方で腹腔鏡下手術では鉗子の動作制限や,視野の方向制限があるため,工夫を必要とする.当院では2016年8月までに413例施行しており多くの術式を完全腹腔鏡下に可能としてきた.当院の腹腔鏡下肝切除術の工夫を報告する.
【手術の工夫】(体位)左葉系腫瘍は仰臥位で行う.右葉系腫瘍は左半側臥位でマジックベッドに固定,ローテーションにて仰臥位から左側臥位にすることで完全腹腔鏡下に施行できている.(デバイス)切離ラインに沿ってソフト凝固にてpre-coagulation後,肝表面を超音波凝固切開装置にて切開する.実質切離はBiClampを用いたClash and Clamp法もしくはCUSAにて行う.部分切除ではBiClamp症例がCUSA症例に比して手術時間が短く出血量が少なかったが,区域切除以上ではCUSA症例は手術時間,出血量も劣らず,術後胆汁漏は少なかったため,現在は症例ごとに至適デバイスを選択している.(肝の授動)肝の脱転は必要最小限にとどめている.poly-surgeryとなり得るため,次回手術の癒着を考慮する.肝機能不良症例では脱転を控えることで術後腹水に難渋することが少ないと予想される.こうした工夫で腹腔鏡下再肝切除を41例,肝障害度B症例を80例施行している.(肝切離) 葉切除では尾側から下大静脈を剥離し右肝静脈と中肝静脈の間に到達しhanging maneuver用のテープを留置する.部分切除では切離の方向性を見失わないように切離途中に切離ラインの全周性に血管テープを通し,牽引しながら肝切離する.拡大視効果に加え背側からの視野が良く,盲目的な操作なく安全に行える.また切離ラインを正面視して切離するために,Endoloopを用いて肝円索を様々な角度に牽引することで,ポート数の増加なく,安全な視野展開のもとで切離を行っている.(術中トラブル) 術中トラブルの最多は出血である.可能な限り全例にPringle法を用いて出血制御の準備をする.肝静脈切離を自動縫合器で行う際,器械トラブルの危険性を常に念頭に置き,Endoscopic vascular clipを常に準備している.またグリソン処理を自動縫合器で行う際は,動脈の止血を確認し必要時はリガクリップでの閉鎖を追加する.
【結語】腹腔鏡肝切除は様々な工夫を行うことで安全に施行可能と考えられる.
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