演題

RS3-148-14-3

ICG蛍光カメラを用いた腫瘍の描出およびNegative staining technique による正確な腹腔鏡下解剖学的肝切除

[演者] 大塚 由一郎:1
[著者] 久保田 喜久:1, 片桐 敏雄:1, 土屋 勝:1, 石井 淳:1, 前田 徹也:1, 木村 和孝:1, 松本 悠:1, 金子 弘真:1
1:東邦大学医療センター大森病院 消化器センター(外科)

【目的】Indocyanine green(ICG)は血漿タンパクと結合し近赤外光照射によって蛍光を発することで手術ナビゲーションとして応用されている.腹腔鏡下肝切除(LLR)における本法の有用性を述べる.
【方法】肝腫瘍に対するLLRにおいてICG蛍光カメラシステム(KARL STORZ社)を2013年8月より導入し,1)腫瘍の同定,2)系統的肝切除領域の描出,3)術中胆道造影を試みてきた.
【結果】LLR14例に対し施行した.本システムでは通常の白色光とともに近赤外光によるICG蛍光観察を同一の硬性鏡で行うため,術者の任意で瞬時にモードを切り替えられる.1)術前ICG静注(0.5mg/kg)による術中観察では,肝細胞癌は腫瘍自体が蛍光を発し,肝表面から5-10mmに存在する腫瘍は明瞭に描出可能であった.腺癌では腫瘍周囲に蛍光を発した.鏡視下手術では腫瘍の触診が得られにくく,肝表直下のものは視認も困難であるが,診断的腹腔鏡の精度を向上させると考えられた.2)腹腔鏡下系統肝切除(区画切除,亜区域切除以上)においては切除予定肝門グリソンをテーピングし一括に先行処理後,術中ICG静注(0.5mg/kg)によるNegative stainingによって非阻血(還流)域は蛍光領域,阻血(非還流)域は非蛍光域としてみられ,その境界はきわめて明瞭に区別された.とくに肝周囲の癒着剥離後例や強い硬変肝例では通常の白色光下での阻血域確認は困難な場合もある.しかしICG蛍光下では明瞭に区別され,正確な切除領域設定が可能であった.3)肝切除後,胆嚢管切断端から総胆管内にチューブを挿入し,胆汁と混和させたICG(0.025mg/ml)を胆道内に直接注入することで,蛍光の透光による肝管の走行が視認でき,肝切除後の胆汁漏および肝門部胆管狭窄の有無を確認した.胆汁漏は白色光下では認識困難な場合もあるが本法により明らかな確認でき,縫合による修復を行いえた.
【結語】LLRの安全性と特に肝解剖学的切除における正確性,さらにトラブルシューティングとしての対処法としてICG蛍光法は貢献しうる.
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