演題

RS3-147-14-6

腹腔鏡下肝切除における困難症例への手技の工夫と成績:S7/8領域と再肝切除症例

[演者] 新木 健一郎:1
[著者] 調 憲:1, 萩原 慶:1, 山中 崇弘:1, 石井 範洋:1, 塚越 真梨子:1, 五十嵐 隆通:1, 渡辺 亮:1, 久保 憲生:1, 桑野 博行:2
1:群馬大学大学院 肝胆膵外科学, 2:群馬大学大学院 病態総合外科学

【背景】腹腔鏡下肝切除は手技の発達とともにドーム下病変や再肝切除症例に対しても施行されるようになってきたが,これらの症例は手技的に困難症例とされている.S7/8領域や再肝切除を困難症例とし,手技の妥当性や適応,成績について検討を行うとともに,当科での手技の工夫を報告する.
【方法】2012年1月から2016年11月に施行した鏡視下肝切除52症例を対象とした.体位は左葉系領域が仰臥位,右側系領域(S7/8含む)が左半側臥位で行った.S7/8領域には肋間ポートを使用した.再肝切除のドーム下病変には胸腔鏡下肝切除を選択した.全例3D解析を行い仮想腹腔鏡モードで肋間ポートなど特殊なアプローチに備えた.
検討Ⅰ:完全鏡視下に行ったS7/8領域10例が対象.Difficulty score(DS)を算出し,術式条件を揃えた他領域の部分切除26例とともに成績を検討した.
検討Ⅱ:完全鏡視下に行った再肝切除6例が対象.適応は肝表層・辺縁領域に存在する2個までの病変とし,癒着でPringle法ができない可能性を前提に症例を選択.病変条件を揃えた初回手術の鏡視下肝切除24例と手術成績を比較した.
【結果】検討Ⅰ:S7/8領域(n=10) vs 他領域(n=26)の成績は,手術時間:319分(240-410) vs 290分(95-489),出血量:201ml(5-430) vs 109ml(0-580),術後在院日数:10.3日(7-16) vs 10.1日(6-19)で,S7/8病変で出血量が多い傾向だった(p=0.086).術中輸血例は存在せず,開腹移行は他領域で1例存在した.Clavien-Dindo(C-D)gradeⅢ以上の合併症を認めず.
検討Ⅱ:再肝切除の内訳は肝細胞癌3例,大腸癌肝転移3例.再肝切除(n=6) vs 初回手術(n=24)の手術成績は,手術時間:338分 (245-364) vs 273分 (95-489),出血量:18.5ml(15-37) vs 82ml(0-270),術後在院日数:9日(6-16) vs 9.5日(7-13)で,再肝切除で手術時間が長い傾向だった(p=0.054).C-D gradeⅢ以上の合併症を認めず.Pringle法は再肝切除2/6例(33%)に可能だった.術中輸血例,開腹移行例は存在せず.肝細胞癌2例が再発し開腹肝切除となった.
【結語】S7/8領域のようなDSが高い症例でも,肋間アプローチなどの工夫により安全に施行可能であった.再肝切除は現時点では肝表層・辺縁領域の病変に対して安全に施行可能と考えられた.手技をビデオで供覧する.
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