演題

SY07-4

ERASに基づいた多職種をチームとした食道癌手術周術期管理

[演者] 尾形 高士:1
[著者] 中島 哲史:1, 前澤 幸男:1, 神尾 一樹:1, 池田 耕助:1, 山田 貴允:1, 谷口 秀喜:2, 福島 亮治:3, 長 晴彦:1, 吉川 貴己:1
1:神奈川県立がんセンター 消化器外科, 2:神奈川県立がんセンター 麻酔科, 3:帝京大学医学部 上部消化管外科

<はじめに>ERAS protocolとは周術期管理についてエビデンスに基づき作成された術後回復能力強化プログラムであり結果として合併症低減,入院期間短縮などが得られるとされる.その実現には多職種の関与が必須であり,本プロトコールは「多職種の協力による周術期管理工夫のパッケージ」であり,いわばチーム医療による周術期管理そのものである.
<方法>我々は2010年6月より食道癌手術にERAS protocolを導入,それ以前と以降の右開胸食道癌手術患者における人工呼吸器離脱日数,術後離床開始日数,経口摂取開始日,術後在院日数,在院死亡がどのように変化したかを検討する.対象はprotocol導入前の49例(A群)と,新たな食道外科チームが赴任し多職種をチームとしたERAS管理が稼働した2011年1月以降のprotocol導入後の240例(B群)とした.B群にて導入したprotocolの詳細(食道ERASパス)を以下に記す.外来初診時から全症例に呼吸訓練,歯科医師会との連携によるプラークコントロール開始,精神科によるせん妄パス外来受診を行い,低栄養症例には栄養サポート外来受診,必要症例には禁煙外来受診,認定看護師による呼吸訓練を行う.入院時に病棟NST回診(管理栄養士,薬剤師,看護師,医師),術前下剤処置を極力無とし,術前経口補水ののちに手術となる.術中からの除痛管理,過剰輸液回避(GDT protocol),術後1日目に人工呼吸器離脱後に理学療法士によるサポートの上セーフティーウォーカーを用いた歩行訓練を開始し,経腸栄養を開始とする.2日目には歩行にて一般病棟へ帰室,6日目に経口摂取開始,15日目に栄養指導を受けて退院,退院後も管理栄養士の1,3,6か月での栄養指導があり,外来初診時から退院後までを周術期とみなして主治医とともに管理を行っている.なおこのERASパスは,ERASのコンポーネントであるauditとしてERAS会議により毎年審査され,その都度改訂されつつ今日に至っている.
<結果>B群において人工呼吸器離脱日数1日,術後離床開始日数:1日,経口摂取開始日6日,術後在院日数15日,在院死亡4例(1.6%)と,全てにおいてA群(4日,2日,15日,29日,2例4.1%)に比して有意に少なかった(p<0.05).
<結語>ERASに基づいた多職種をチームとした食道癌周術期管理およびクリニカルパスは,チーム医療としてのパッケージとして認容できると考えられた.
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