演題

RS3-147-14-5

脈管解剖に基づいた肝右葉の腹腔鏡下亜区域切除術

[演者] 雨宮 隆介:1
[著者] 早津 成夫:1, 板野 理:2, 阿部 雄太:2, 若林 剛:3, 石塚 裕人:1, 柳 在勲:1, 津和野 伸一:1, 江頭 有美:1, 原 彰男:1
1:埼玉病院 外科, 2:慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科, 3:上尾中央総合病院 外科

【背景】肝右葉はCouinaud分類に従うとS5~S8に分類される.しかし,S5とS8・S6とS7には複数の枝が関与し必ずしも4つの領域に分類することができない.まず肝右葉の解剖について検討し,続いてこの結果に基づいて,現在当科で行っている肝右葉の亜区域切除術を紹介する.
【方法】2012年11月~2015年7月慶應義塾大学病院にてMDCTを施行した生体肝移植ドナー候補105例を対象とした.肝臓解析ソフトを用いて肝臓の3D画像を作成し,得られた画像から右葉の門脈・静脈分岐形態を検討した.
【結果】①門脈前区域枝からは6.4±1.5本(2-10本),後区域枝からは4.1±0.9本(3-7本)の門脈第3分枝が分岐していた.これら第3分岐の間には必ず静脈が存在した.②前区域枝と後区域枝の2本で作られる面をtransverse plane,この面より頭側の門脈第3分枝をP8・P7,足側をP5・P6と定義した.門脈第3分枝がtransverse planeを全く乗り越えない症例:25%,1本の門脈第3分枝がtransverse planeを乗り越える症例:58%,2本が乗り越える:17%であった.3本以上乗り越える症例は認めなかった.最もtransverse planeを乗り越える頻度が高い門脈第3分枝はP8であった.
【当科で施行する亜区域切除術】当科では門脈第3分枝(Cone unit)単位で担癌グリソンを把握し,複数のCone unitを処理する解剖学的肝切除(Cone unit resection)を亜区域切除術と考えている. その方法は,(1)術前シミュレーションにて腫瘍切除のために処理する複数のCone unitを決定し,切離ライン上に出てくる肝静脈を把握する.(2)手術では画像ナビゲーション下に担癌グリソンを処理する. (3)Demarcation Lineと肝静脈を同定しながら肝切離を行うことで,適切な切離ラインを維持し,不必要な阻血/鬱血域や胆汁漏を防ぐことが可能となる.
【Video】前区域グリソンは7本のCone Unitから成り立つ.肝門部グリソンアプローチにて,処理すべき3本のCone Unitを一括切離した.①Demarcation Line,②切離面に露出するMHV,③温存すべき前区域背側のCone Unit,④処理したCone Unit根部といった複数のメルクマールを用いて過不足のない腹腔鏡下肝切除術を行った.
【結語】複数のCone Unitを処理する解剖学的肝切除=Cone Unit Resectionは,グリソンがCouinaud分類通りに分岐することの少ない肝右葉の肝切除で特に重要な概念と考えられる.
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