演題

RS3-147-14-4

腹腔鏡下系統的肝切除術;肝外グリソン鞘一括先行処理と主肝静脈露出及び一方向性肝切離による手技の定型化

[演者] 中嶋 早苗:1
[著者] 加藤 悠太郎:1, 棚橋 義直:1, 小島 正之:1, 香川 幹:1, 木口 剛造:1, 三井 哲史:1, 辻 昭一郎:1, 守瀬 善一:1, 杉岡 篤:1
1:藤田保健衛生大学病院 外科

【はじめに】診療報酬改定により腹腔鏡下肝切除術の適応が拡大され,腹腔鏡下系統的肝切除を導入する施設が増加しているが,安全に施行するためには,術式の定型化が必須である.当院では2016年11月までに207例の腹腔鏡下肝切除を施行し,その内67例(32%)に系統的肝切除を施行した.当院では,腹腔鏡下系統的肝切除において,責任グリソン鞘の肝外一括先行処理と肝静脈根部からの剥離露出,及び一方向性肝切離を基本方針としている.これらの手技を安全かつ確実に行うためにレネック被膜を活用することが有用である.これらの原則に基づいた当科の腹腔鏡下系統的肝切除の定型的手技を供覧する.
【手技に必要となる解剖学的ポイント】グリソン鞘は肝外構造物であり,レネック被膜から剥離可能で,肝門から末梢のグリソン鞘を肝外へ引き出す事ができるため,グリソン鞘の肝外確保が可能である.そのためには『4つの解剖学的指標』;Arantius板,臍静脈板,胆嚢板,尾状葉突起(G1c)を認識する必要があり,さらに4つの指標から『6つのゲート』と呼ばれるポイントに正確にアプローチする事が重要である.これらのゲートにはグリソン鞘とレネック被膜の間に間隙があり,このポイントでアプローチする事で安全に肝外グリソン鞘一括確保が可能である.さらに,肝実質とグリソン鞘との間には『アンカー』と呼ばれる索状の固定点があり,これらを処理する事でグリソン鞘を肝門から肝外に引き出す事が可能となる.また,レネック被膜は主肝静脈外膜に固着しており,肝実質切離によりレネック被膜を肝静脈壁に温存することが有用である.肝外グリソン鞘一括先行確保は切除領域の確実な血流制御と腫瘍細胞の散布防止に有用であり,主肝静脈壁にレネック被膜を温存する事により壁の脆弱化を防ぎ,安全確実な主肝静脈の剥離露出が可能となる.これらの手技を統合した一方向性肝切離により確実な出血コントロールのもと,腹腔鏡下で良好な視野が保たれ,安全かつ根治性の高い系統的肝切除の定型化が可能となる.
【結語】レネック被膜を活用した肝外グリソン鞘一括先行処理,主肝静脈の頭尾方向の剥離露出,及び一方向性肝切離は腹腔鏡下系統的肝切除手技の定型化に有用である.
詳細検索