演題

RS2-80-12-4

当院における膵空腸吻合の工夫―Blumgart変法と柿田式による複合式吻合法

[演者] 伊藤 隆介:1
[著者] 薄葉 輝之:1, 吉田 和彦:1, 矢永 勝彦:2
1:東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 外科, 2:東京慈恵会医科大学附属病院 外科学講座

【はじめに】膵頭十二指腸切除術は他の消化器手術に比べ術後合併症の発生率が高く,特に膵液瘻とそれに伴う仮性動脈瘤の破裂による出血は致死的な状況を招く.近年,膵頭十二指腸切除術における膵液瘻を減らす吻合法として膵空腸吻合におけるBlumgart変法が有用との報告がみられる.当院においては2014年よりBlumgart変法に柿田式密着吻合を加えた複合式吻合法を導入したので手術手技と短期成績を報告する.
【手術手技】膵管空腸粘膜縫合はモノフィラメント吸収糸4針もしくは8針にて施行,膵空腸吻合はモノフィラメント非吸収糸を用いて膵管空腸粘膜吻合をまたぐようにBlumgart変法を1針,頭尾側に柿田式密着吻合を1針ずつ,合計3針を基本とする.柿田式密着吻合は膵実質の幅に応じて適宜針数を調整またはBlumgart変法を追加する.Blumgart変法による主膵管の狭窄,閉塞を避けるため膵管ロストステント留置を基本としているが,症例に応じて外瘻,no stentも行っている.
【対象】2006年から2013年に行われた膵頭十二指腸切除術66例とBlumgart変法+柿田式密着吻合29例を対象に術後合併症,膵液漏,在院日数を比較した.
【結果】導入前/後で合併症(Clavien-Dindo ≧ Ⅲ):20/5例(30.3%/17.2%, p = 0.183),膵液漏:23/5例(34.8%/17.2%, p = 0.083).ISGPFによるGrade別ではGrade A:10/3例(15.2%/10.3%, p = 0.530),Grade B;8/1例(12.1%/3.4%, p = 0.184),Grade C:5/1例(7.6%/3.4%, p = 0.446)であり減少傾向はみられたが有意差はなかった.他,腹腔内出血:2/1例(3.0%/3.4%, p = 0.843),再手術:6/1例(9.1%/3.4%, p = 0.393),手術関連死:3/0例(4.5%/0%, p = 0.269),術後在院日数:31.9/23.4日(p = 0.082)であった.soft pancreas症例(導入前/後:33/16例)の検討では,膵液瘻:17/3例(51.5%/18.8%)(p = 0.029),Grade A:7/2例(21.2%/12.5%)(p = 0.460),Grade B)7/0例(21.2%/0%)(p = 0.047),Grade C:3/1例(9.1%/6.3%)(p = 0.733)とGrade Bの有意な減少を認めた.導入後のClavien-Dindo Ⅲ以上の合併症5例のうち再手術となった1例は術後膵液瘻なく発症した遅発性結腸壊死であり,仮性動脈瘤破裂1例を含む2例に膵液漏関連の合併症を認め,そのほか胆汁漏,乳び漏各1例であった.
【結語】本法により膵液漏Grade Bの有意な減少を認め,膵液瘻を減らす有用な吻合法である可能性が示唆された.
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