演題

RS2-79-12-3

膵断端空腸内嵌入法(改変法)について

[演者] 田嶋 ルミ子:1
[著者] 秋山 貴彦:1, 大徳 暢哉:1, 田中 洋:1, 本田 志延:1, 杉田 裕樹:1, 廣田 昌彦:1
1:熊本地域医療センター

【目的】膵頭十二指腸切除術(PD)における膵空腸吻合は,高難易度手術であるPDの後半の山場であり,術後合併症とも直結する術者にとって神経を使う手技の一つである.このため,現在までに様々な方法が報告されている.その中において,膵断端空腸嵌入法はその手技のダイナミックさと簡便さから,術者の力量にあまり左右されず安定して行える吻合法である.今回我々は膵断端空腸嵌入法の具体的は方法と共に,当院での成績を合わせて報告することで,当吻合方法の有用性を検証し,多くの膵外科医の日常手術の選択枝の一助になればと思い報告する.【方法】その名の通り,膵断端をきっちりすっぽり空腸内に収めることがこの手技の成功ポイントンである.この点において,オリジナルの方法では膵断端が空腸からスリップアウトしてしまう重篤な欠陥が報告されていたが,改変された嵌入法においてはこの点が改善されており,以降安定して行える手技となっている.膵管チューブを留置固定したのちに,空腸腸間膜対側を膵断端径分切開する.空腸切開部を取り囲むように,漿膜筋層にプローリン3-0巾着縫合をかけておく,先に膵管ドレーンを空腸端側から腸外に誘導しておく.ここからが改変ポイントであるが,膵上縁と下縁の2か所に4-0吸収糸で針を残した状態で大きくZ縫合をかけ,糸を空腸切開部の腸間膜から空腸壁外へ誘導する.その後に膵を空腸内に十分嵌入させたのちに,上縁-下縁のZ縫合の糸同士を結紮しておく.これで膵は空腸内からスリップアウトすることはなくなるのである.その後に,巾着縫合を結紮し,さらに必要であればもう一重追加で巾着縫合を追加し,再度に露出した粘膜を反転させるように空腸漿膜筋層と膵実質周囲腹膜とをプローリン5-0で全周性に6針程度固定する.【成績】当院で2008年4月から2016年10月までの間にPDを施行した症例170例中 嵌入法で再建した症例は66例である.同時期に施行した膵管空腸(胃)吻合と比較して出血量,手術時間,膵液漏発生率,食事開始時期,在院日数等に有意差は認めなかった.【結論】今回膵断端空腸内嵌入法(改変法)について報告した.特に残主膵管径の小さい膵臓の再建は特に有用な手技であり,選択肢の一つとなることを期待する.
詳細検索