演題

RS2-79-12-2

当科における膵空腸吻合術の工夫―膵管no stentによる膵空腸端々連続吻合術―

[演者] 河野 和明:1
[著者] 安達 保尋:1, 小野田 雅彦:1, 岩村 道憲:1, 古谷 彰:1, 加藤 智栄:1
1:山口労災病院 外科

【はじめに】膵頭十二指腸切除における膵液瘻はいまだに大きな問題であり,安全で確実な膵消化管吻合法は確立されていない.当科においては以前より膵空腸端々吻合(嵌入法)を行っていたが,2005年1月より胆管チューブを廃止,2006年9月より膵管チューブも廃止したno stentによる膵空腸端々連続吻合を開始し,これまでに連続72例に施行した.
【手術手技】再建はIIA-2で行っている.膵は電気メスにて切離.自動縫合器にて切離した空腸を後結腸に拳上後,4-0モノフィラメント非吸収糸にて空腸後壁漿膜筋層-膵後面実質連続縫合施行.空腸断端を切離開窓,膵管を確認しつつ4-0モノフィラメント非吸収糸にて空腸後壁全層-膵後壁連続縫合を頭側から行い,途中膵管後壁にも径に応じ1~3針縫合し足側端に至る.前壁も同様に空腸前壁全層-膵前壁連続縫合,空腸前壁漿膜筋層-膵前面実質連続縫合を施行,後壁・前壁の2列連続縫合を行っている.
【対象】男39例,女23例,平均年齢71.6歳(41~88歳).PpPD64例・SSPPD4例(+門脈合併切除14例),PD3例(胃全摘後1例,幽門側胃切除後2例),PD+胃全摘1例.膵癌30例,胆管癌20例,乳頭部癌8例,IPMN3例,十二指腸癌2例,膵嚢胞2例,慢性膵炎2例,胆嚢癌1例,膵内分泌腫瘍1例,胃癌1例.
【結果】在院死亡1例(8病日に急性心筋梗塞).ISGPF gradeA:9例,gradeB:2例,gradeC:3例.臨床上問題となるgradeB以上の膵液瘻は5/72例(6.9%),hard pancreas 1/31(3.2%),soft pancreas 4/41(9.8%)であった.手術時間336±99分,術中出血量:540±556ml,DGE(delayed gastric empty):5/72例(6.9%),術後在院日数 中央値19日(8~86日),術後ドレーン抜去日 中央値7日(4~68日),術後食事開始日 中央値5.5日(4~69日).術後の糖尿病悪化2例(食事療法から薬物療法へ移行),術後主膵管の拡張(術前の2倍以上)を5例に認めたが臨床的に問題はなかった.また門脈合併切除例14例(男8例,女6例)をみると手術時間437±119分,出血853±627mlであるが,ISGPF gradeA:1例のみ(7.1%)であった.
【結語】本法は,難度の高い膵管空腸粘膜縫合を行わないが,膵液瘻の発生は低率である.症例の積み重ねにより周術期から術後中長期を含めて大きな問題もなく,術後在院日数も短縮され,十分に安全で簡便な吻合法と考えられた.
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