演題

RS2-78-12-5

安全かつ確実な膵空腸吻合に関する検討

[演者] 百瀬 博一:1
[著者] 鈴木 裕:1, 松木 亮太:1, 小暮 正晴:1, 横山 政明:1, 阿部 展次:1, 森 俊幸:1, 正木 忠彦:1, 杉山 政則:1
1:杏林大学付属病院 消化器・一般外科

〔背景〕膵管空腸粘膜吻合は組織癒合に優れ膵瘻発生が少ないが,膵管非拡張例に対する膵管空腸粘膜吻合は技術的に困難であり,操作中に膵管・膵実質損傷や空腸側吻合口の過度の拡大も起こりうる.我々は膵管空腸粘膜吻合を安全かつ確実に行うために膵管ホルダーとmucosa squeeze-out法を採用している.
〔方法〕吻合はメスで膵切離後,膵管・膵実質-空腸全層縫合+膵実質空腸密着縫合+膵管チューブ(不完全外瘻)を留置している.膵管ホルダーは金属製の円錐形で,1/3周がスリット状になっている.ホルダーを膵管内に挿入することで,膵管を円形かつ適度な径に展開でき,スリットにより容易に運針ができる.また空腸に小孔を開け,周囲の空腸壁を丸く握ると,粘膜が絞り出されるように外翻し(squeeze-out)縫合が容易になる.
〔成績〕膵頭十二指腸切除後に膵管・膵実質-空腸全層縫合+膵実質空腸密着縫合を行った152例が対象.膵管ホルダー使用群(75例)と非使用群(77例)の手術成績を比較.うち膵管非拡張例(2mm以下)は70例.ホルダー使用群では非使用群に比し数多くの縫合が可能(膵管非拡張例:8針vs4針,拡張例:12-16針vs6-12針).ホルダー使用群では膵管・膵実質の損傷や空腸側吻合口の過度の拡大は認めず.mucosa squeeze-out法を用いると確実に空腸全層を縫合できた.膵瘻(ISGPF分類B/C)の発生はホルダー群に少ない傾向(非拡張例:7%vs14%,拡張例:4%vs6%).
〔結論〕膵管ホルダーとmucosa squeeze-out法を用いると,膵管非拡張例でも膵管・膵実質-空腸全層縫合を容易かつ確実に施行でき,また膵瘻発生率を減少させる可能性がある.さらに,経験の少ない医師でも安全に施行しうる.
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