演題

SY07-2

胃癌手術におけるERASプロトコール

[演者] 山田 貴允:1
[著者] 青山 徹:1, 林 勉:1, 佐藤 勉:1, 谷口 英喜:3, 福島 亮治:2, 尾形 高士:1, 長 晴彦:1, 吉川 貴己:1
1:神奈川県立がんセンター 消化器外科, 2:帝京大学医学部 上部消化管外科, 3:済生会横浜市東部病院 周術期支援センター

【目的】ERASプロトコールは術後回復能力を強化する包括的周術期管理プログラムであり,合併症発生を予防し予後を改善することが期待される.胃癌手術には経口摂取による吻合部負荷への懸念,術後経口摂取形態の変化,体重減少という特徴があり,ERAS適用には「効果」のほか「忍容性」「安全性」を明らかにする必要がある.
【方法】我々は2009年胃癌手術の周術期管理にERASプロトコールを適用した.従来型周術期管理との主たる変更点は,術前3時間の経口補水液,ドレーン留置の廃止・簡略化(幽門側胃切除は廃止,胃全摘は1本留置),術後1日目の飲水開始,術後2日目の経口摂取再開,深部静脈血栓症の予防的皮下注,術後NSAIDS/acetaminophenの定時投与であり,Fearonが提唱するERAS17項目をすべて満たしている.検討1:ERAS管理による「効果」を明らかにする為,2008-09年の従来型周術期管理(CONV)100例と,2009-10年のERAS管理91例を後方視的に比較した.検討2:2009-11年の胃癌手術256例のERAS適用率,およびERAS適用を受けた症例における安全性と忍容性を検討した.
【結果】検討1:ERAS管理では経口摂取・排ガス・排便の時期が有意に早かった.Visual analog scaleによる最大疼痛は有意に低下し(ERAS 4 vs CONV 5),頓用の鎮痛薬回数は有意に減少した(ERAS 3回 vs CONV 10回).術後1週間の体重減少率は有意に低下した(ERAS 5% vs CONV 6%).検討2:256例中203例にERASを適用した(適用率79.3%). ERAS症例でClavien-Dindo分類grade 2以上の合併症発生率は10.8%,grade 3以上は3.9%(縫合不全1.5%,膵液漏1.0%,吻合部狭窄0.5%,腸閉塞0.5%,膿胸0.5%)だった.Mortalityは0%,再手術は3.0%,再入院は2.0%だった.ERASパス逸脱を経口摂取予定の2日延期と定義した場合,完遂率は95.1%だった.
【結論】胃癌手術におけるERASプロトコールは,一般化可能性/忍容性が高く,安全に施行可能だった.また従来型周術期管理に比し,術後消化機能回復および疼痛管理の点に利点があり,術後1週間の体重減少の抑制効果もあると考えられた.
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