演題

RS2-78-12-3

Blumgart変法を用いた膵空腸吻合における手技定型化の効果

[演者] 天谷 公司:1
[著者] 清水 康一:1, 竹下 雅樹:1, 羽場 祐介:1, 山崎 祐樹:1, 渡邉 利史:1, 柄田 智也:1, 松井 恒志:1, 加治 正英:1, 前田 基一:1
1:富山県立中央病院 外科

【背景】Blumgart変法による膵空腸吻合の特長は,膵を貫通させたマットレス縫合によって膵実質に剪断力をかけることなく膵と空腸と密着させることであるが,手順や手技の詳細は術者によって異なる.当科では2013年6月より膵空腸吻合法を柿田変法からBlumgart変法に変更し,徐々に手技を定型化することで安定した成績が得られるようになった.
【手技】4-0プロリン弱弯両端針にて膵実質を貫通させ空腸漿膜筋層を膵背側に引き込むようにU字縫合をかけて糸を把持する.空腸壁に主膵管の径に合わせた小孔を開ける.膵管膵実質-空腸全層吻合は6-0PDSを用い,主膵管径が2mm以上あれば連続縫合で行う.後壁を縫合した時点で膵管チューブを留置して不完全外瘻とし,引き続き前壁を縫合する.最後にU字縫合の両端の針を腹側の空腸漿膜筋層にかけ,膵切離面を空腸で包みこむように結紮する.症例を重ねるに従い,以下の点を定型化した.①U字縫合は原則として主膵管をまたぐ位置とその頭側・尾側の計3針とする.②各U字縫合の間にできるだけ隙間を作らない.③U字縫合糸を適切に牽引し,最適な位置で空腸に小孔を開ける.④膵断端全体が無理なく空腸で包まれるよう,空腸に針をかける際はやや横方向に運針する.
【成績】2016年9月までに膵空腸吻合を行った症例のうち,Blumgart変法導入前の柿田変法35例をK群,導入後18か月間の52例をB1群,手技を定型化した65例をB2群として成績を比較した.B1群はK群よりも有意にGrade A膵瘻が減少した(K:46%,B1:21%,p=0.02)が,Grade B,Cの頻度は同等であった.B2群では新たな修練医の執刀例が含まれているにも関わらずGrade B,Cの頻度が減少し(K:26%,B1:33%,B2:17%),手術時間(K:355分,B1:348分,B2:314分)と術後在院日数(K:25日,B1:27日,B2:22日)が短縮した.
【考察】Blumgart変法は,膵断端に短軸方向の縫縮力がかかるため分枝膵管からの膵液漏出が減少すると考えられる.さらに,定型化した手技で良視野のもとに吻合を行うことによって良好な短期成績が得られ,経験の少ない術者にとっても比較的安全に実施可能な吻合法であると考えられた.
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