演題

RS2-78-12-2

膵頭十二指腸切除術における膵断端陥入式膵胃壁one-loopマットレス縫合の有用性に関する検討

[演者] 西村 貞徳:1
[著者] 秋田 裕史:1, 高橋 秀典:1, 友國 晃:1, 小林 省吾:1, 文 正浩:1, 大森 健:1, 安井 昌義:1, 宮田 博志:1, 左近 賢人:1
1:大阪府立成人病センター 消化器外科

【背景】膵頭部切除における膵消化管吻合は縫合針刺通時や縫合糸結紮時に膵損傷を来たし易く,最も熟練を要する吻合とされている.これまでに我々は胃壁を利用して縫合糸による膵損傷を最小化する膵断端陥入式胃壁マットレス縫合法を考案し良好な成績を報告してきた(Am J Surg 2008;196(1):130).上記吻合法を改良し,更に安全で容易な膵胃壁one-loopマットレス縫合を用いた膵胃吻合法(one-loop法)を考案した.【対象】2010年から2015年までに当センターにて膵頭部切除術を施行し,one-loop法にて膵胃吻合を施行した241例を対象とし,吻合時間/ドレーンアミラーゼ値/膵液瘻(ISGPF)について検討した.【手術手技】膵断端から約2.0cmの膵を授動し,主膵管には節付きの膵管tubeを挿入し完全外瘻とする.膵胃吻合には両端曲針付き3-0 polypropyleneを直針化して用い,まず胃切開部尾側縁の口側漿膜から胃全層を刺通する(外→内).次いで膵断端から1.5cm,膵下縁から0.4cmの位置で膵実質を腹側から背側に直線的に刺通する.他端の針を用いて頭側縁で同様の刺通を行なう.膵管チューブを胃前壁から胃外へ誘導した後,膵を刺通してある縫合糸を用いて,胃切開部肛門側で粘膜側から漿膜側へ向かって胃全層を刺通する(内→外)と,膵胃吻合部の尾側縁と頭側縁で胃壁口側全層・膵・胃壁肛門側全層を刺通した1つのループが形成される.膵断端を胃内に陥入させループ状の縫合糸を結紮すると,胃壁で膵実質を挟み込む縫合が完成する.必要に応じて膵胃吻合の両端において補強針を入れて吻合は終了する.【結果】241例の内訳は膵癌166例,IPMN20例,その他55例であり,手術は膵頭十二指腸切除術が236例,膵体部切除術が5例であった.術前治療は141例に施行した(NACRT140例).膵胃吻合に要した時間は平均16.9±5.6分であった.術後のドレーンアミラーゼ値(中央値)はPOD1,POD3,POD7でそれぞれ352U/L(2-42530),85U/L(2-17533),33U/L(2-82019)であった.ISGPF分類による膵液瘻評価では,Grade Aが52例(21.6%)で,Grade Bは15例(6.2%),Grade Cは2例(0.8%)であった.GradeB以上の症例では有意に吻合時間が長く(16.7±5.4 vs19.9±6.8, p=0.029),また有意に術前治療非施行群が多かった(p=0.002).一方で本吻合を5例以上経験した11名の術者間で経験年数に関係なく膵液瘻の頻度および吻合時間ともに有意差を認めなかった.【結語】one-loop膵胃吻合法は簡便性,安全性の点で極めて有用な膵消化管吻合である.
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