演題

RS2-76-12-5

血行再建を伴う膵切除における自家静脈グラフトの使用経験

[演者] 牧 章:1
[著者] 中沢 祥子:1, 宮田 陽一:1, 三井 哲哉:1, 二宮 理貴:1, 小澤 文明:1, 別宮 好文:1
1:埼玉医科大学総合医療センター 肝胆膵外科・小児外科

【目的】肝胆膵領域における拡大手術では,主要血管を合併切除する機会が多く,血行再建の手技は手術成績を決定する重要な因子である.我々の施設では2014年から自家静脈グラフトを使用した血行再建を導入し,良好な成績を収めているので,その経験を報告する
【対象】2013年1月から2016年11月に当院において施行された膵切除221症例中73例において,主要血管の合併切除・再建が施行された.門脈合併切除・再建は69例で,自家静脈グラフト間置再建が10例に実施された.使用された自家静脈グラフトは左腎静脈グラフト9例,右外腸骨静脈グラフト1例,脾静脈グラフト1例であった.大伏在静脈グラグトを用いた肝動脈血行再建は2例に施行され,左腎静脈グラフトを用いた下大静脈のパッチ再建が1例に施行された.代表的な症例を提示する.
(症例1)60歳代女性,膵癌にてSSPPD施行.3cm以上の門脈合併切除に対して,左腎静脈グラフトを間置し門脈再建を施行した.門脈クランプ時間は25分であった.
(症例2)70歳代女性,ボーダライン膵癌に対し,nabPTX+GEMによる術前化学療法施行中に,腫瘍からのコントロール不能な出血を認め,緊急開腹となった.約5cmの門脈合併切除を伴う膵全摘に対し,切除標本の脾静脈を間置グラフトとし,門脈再建した.門脈クランプ時間36分であった.
(症例3)50歳代女性,局所進行膵癌に対し,FOLFIRINOX 16コース後にconversion surgery施行した.約5cmの門脈合併切除を伴うSSPPDに対し,右外腸骨静脈グラフトを間置し門脈を再建した.門脈クランプ時間26分であった.
(症例4)60歳代男性.局所進行膵癌に対しnabPTX+GEMによるconversion後にDP-CARを企図した.CHA離断後にIPDAを損傷し,肝動脈血流を失った.腹部大動脈から総肝動脈の間に大伏在静脈を間置し肝動脈を再建した.
【結果】2014年5月以降,門脈切除長3cm以上を必要とした症例において,自家静脈グラフト間置再建が施行された.1年以上の観察期間を得られた門脈再建施行症例28例中9例で門脈が閉塞したが,自家静脈間置グラフトを用いた9症例では門脈閉塞は1例のみであった.左腎静脈グラフトを採取した11症例中2例に,術後一過性の腎機能異常を認めた.大伏在静脈を用いて肝動脈再建を施行した2例では観察期間中に閉塞もしくは狭窄は認めなかった.
【考察】自家静脈グラフトを用いた血行再建は認容される手技であると考えられた.
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