演題

RS2-76-12-1

局所進行膵癌に対する門脈合併尾側膵切除の手術手技と成績

[演者] 上月 章史:1
[著者] 志摩 泰生:1, 岡林 雄大:1, 齋坂 雄一:1, 住吉 辰朗:1, 徳丸 哲平:1, 須井 健太:1, 土居 大介:1, 谷岡 信寿:1
1:高知医療センター 外科

【緒言】手術手技の向上により門脈合併切除を伴う尾側膵切除(DP)は安全に施行されるようになってきた.当科で行っているDP・門脈合併切除再建の手術手技を供覧し,手術結果を報告する.
【症例】78歳,女性.CHAに接し,GDAへ浸潤するBorderline resectable膵体部癌(Pbh,TS2(38mm),PV1(PVp,sp),PL1(PLcha,spa),T3N0M0,StageIIA)(JPS7th)と診断し,化学放射線療法後にDP・門脈合併切除を施行した.手術時間283分,出血量250ml.術後合併症なく経過し,術後12日目に退院.
【手術手技】(1)GDAは根部で切離でき,CHAを温存可能であった.膵体尾部の脱転,PL-sma腹側半周を切離後に,門脈右側縁でGDAを切除側へ含めて膵を切離し,脾静脈根部から門脈への腫瘍浸潤部だけがつながる形とした.(2)切除門脈の小腸側,肝臓側に腹側背側方向に血管鉗子をかけてから門脈を楔状に切離した.(3)血管鉗子を右側へ90°回転させ,切除した左側を腹側,つながっている右側壁を背側としてから縫合を開始する.(4)門脈左端から両端針5-0プロリンで後壁の縫合を開始するが,この時点で背側のつながっている門脈を切離,トリミングし,門脈の右端に支持糸を置くことにより,門脈にねじれが生じないようにする.後壁はintraluminalで連続縫合.(5)前壁はover and overで左端から連続縫合し,右側端でgrowth factorを置いて結紮.(6)血管鉗子を外し十分に門脈が拡張した後に支持糸を結紮して終了.
【対象】2005年3月から2015年12月までに浸潤性膵管癌に対してDPを施行した97例.
【結果】内訳は門脈合併切除群(PVR(+))17例,非合併切除群(PVR(-))80例.PVR(+);PVR(-)はそれぞれ年齢:76歳(59-86);74歳(41-87)(P=0.3437),80歳以上:5例;15例(P=0.176)と有意差無し.術前化学放射線療法:9例;5例(P<0.001),DP-CAR:8例;10例(P<0.001),手術時間:268分(157-375);174分(55-463)(P<0.001),術後在院日数:17日(10-123);13日(8-76)(P<0.01)と有意差を認めたが,出血量:400ml(0-1705);320ml(0-7615)(P=0.103), 膵液ろうgradeB,C:3例;10例(P=0.574),Clavien-Dindo分類3以上の合併症:4例;12例(P=0.392)と有意差は無かった.PVR(-)の術後1,3,5年生存率は74.0%,39.6%,33.5%,PVR(+)の術後1,3年生存率は69.3%,38.0%で有意差は無かった(P=0.63).
【結語】門脈合併切除を伴うDPは手術時間,術後在院日数が延長するものの,安全に施行可能であり,長期的にも良好な結果を得られていた.
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