演題

RS2-75-12-5

肝門部領域悪性腫瘍に対する生体肝移植の動脈吻合手技を用いた肝動脈合併肝葉切除

[演者] 小川 晃平:1
[著者] 藤山 泰二:1, 中村 太郎:1, 高井 昭洋:1, 井上 仁:1, 水本 哲也:1, 坂元 克考:1, 田村 圭:1, 高田 泰次:1
1:愛媛大学医学部 病態制御部門外科学講座(肝胆膵・移植外科学分野)

【はじめに】生体肝移植における肝動脈吻合では,吻合動脈間の口径差や距離のため,吻合に工夫を要する状況にしばしば出くわす.近年,肝門部領域の悪性腫瘍における拡大手術として肝動脈合併切除の報告が散見される.腫瘍の浸潤によっては,その切離範囲はかなり広範囲となり,末梢側と中枢側に口径差が出来たり,距離が出来てしまったりする状況になる可能性がある.そのような状況のときに肝移植における肝動脈吻合の経験が役に立つ場合がある.
【症例1】50代,女性.肝左尾状葉原発の肝内胆管癌による肝門浸潤を認め,肝十二指腸間膜リンパ節転移による門脈左右分岐部および肝動脈への浸潤を認めた.肝動脈への浸潤範囲は総肝動脈~右肝動脈前・後区域枝の分岐部までと広範囲であった.手術は肝左葉,尾状葉切除,門脈,肝動脈合併切除,胆道再建を行った.手術時間は17時間15分,出血量は1650gであった.肝動脈は総肝動脈根部,胃十二指腸動脈起始部,右肝動脈前区域枝および後区域枝を切離し,広範に合併切除した.動脈再建は口径のやや太かった前区域枝をまず吻合することとした.総肝動脈は距離が遠く吻合困難であったため,膵頭部アーケードを介した胃十二指腸動脈の血流が良好であったため,これを可及的に剝離し前区域枝と吻合した.吻合後,後区域枝からの弱いbackflowを認めたものの,ドップラーエコーでは後区域枝の血流が確認されなかったため,膵上縁に存在した膵背動脈断端を可及的に剝離し,後区域枝と吻合した.その後,ドップラーエコーにて後区域枝の動脈波形を得た.
【症例2】70代,女性.肝門部領域胆管癌の門脈左枝,右肝動脈への浸潤を認めた.手術は肝拡大左葉切除,門脈,肝動脈合併切除,胆道再建を行った.手術時間は15時間25分,出血量は1130gであった.肝動脈は胃十二指腸動脈分岐後の固有肝動脈~右肝動脈前区域枝とA6の分岐部までを合併切除した.前区域枝の再建をまず行うことにしたが,固有肝動脈断端との間に距離と口径差があったため,胃十二指腸動脈を可及的に膵頭部側に剝離して切離ののち,これと吻合した.吻合後,A6からの弱いbackflowを認めたものの,ドップラーエコーでは血流が確認されなかったため,左胃動脈を剝離してA6と吻合した.
【結語】生体肝移植での動脈吻合の経験を応用して,広範囲にわたる肝動脈合併肝葉切除を安全に施行出来た.
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