演題

RS2-75-12-2

広範囲胆管癌に対する右肝動脈再建術を併施した縮小肝切除+膵頭十二指腸切除術

[演者] 押 正徳:1
[著者] 松山 隆生:1, 森 隆太郎:1, 後藤 晃紀:1, 原田 郁:1, 平谷 清吾:1, 藪下 泰宏:1, 澤田 雄:1, 熊本 宣文:1, 遠藤 格:1
1:横浜市立大学附属病院 消化器・肝移植外科

【背景・目的】胆管癌は水平方向への進展が特徴で,時に肝門部胆管から膵内胆管にまで腫瘍進展が及ぶことがあり,膵頭十二指腸切除術を併施しなければならないことがある.さらには右肝動脈への浸潤も認めることが多く,手術としては右葉切除+膵頭十二指腸切除術(PD)が理論上は最も優れている.しかし,胆道癌における右葉肝・膵同時切除術は合併症,在院死亡率も高率でその適応は極めて厳格にしなければならない.教室では残肝機能に問題がある広範囲胆管癌症例に対しては右肝動脈を合併切除再建した種々の縮小肝切除+PDを行っている.同手術の手技を供覧しその成績を報告する.【症例】78歳,男性,C型肝炎の既往あり,ICG:17.4%,右肝動脈浸潤陽性,リンパ節転移陽性の広範囲胆管癌の診断で肝前区域尾状葉切除+膵頭十二指腸切除,右肝動脈合併切除再建術を施行した.右肝動脈は7-0Nylonを用いて顕微鏡下に形成外科チームが端々吻合で再建した.膵管完全ドレナージで胃膵吻合再建を行った.後区域の1穴となった胆管に櫛付き膵管チューブを留置し胆道再建を行った.出血量は3832ml,手術時間は21時間59分であった.【結果】1992年4月から2015年12月までに当科で切除した胆管癌334例中,肝切除+PD (HPD)を施行した症例は37例であった.そのうち,11例に肝動脈合併切除再建術を併施し,2例(18.2%)が動門脈合併切除・再建を施行した.肝動脈合併切除症例での平均手術時間は941分で平均出血量は2278mlであった.病理学的血管浸潤陽性率は1例(9.1%)に認めた.治癒切除率は10例(90.9%) であった.Clavien-Dindo grade III以上の合併症発生率は45.5%で,血管再建に起因する合併症は,門脈血栓を1例に認め,動脈血栓は認めなかった.在院死亡は認めなかった.
また,HPD症例のうち,縮小肝切除+PDを施行した症例は20例であった.そのうち,本症例を含め7例に右肝動脈再建術を併施した.右肝動脈再建術を行った群では,平均ICGR:18.0%と高値でり,平均手術時間:954分,平均出血量:2317mlで手術時間は長時間であったが,全例で治癒切除が可能であった.【結語】右肝動脈合併切除再建術を伴った縮小肝切除術+PDは年齢,併存疾患,肝機能などの様々な患者因子で肝膵同時切除が躊躇される広範囲胆管癌症例に対して有効な可能性がある.
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