演題

RS1-31-13-5

潰瘍性大腸炎に対する小開腹による一期的J型回腸嚢肛門管吻合術の手技の工夫

[演者] 杉田 昭:1
[著者] 小金井 一隆:1, 辰巳 健志:1, 二木 了:1, 黒木 博介:1, 山田 恭子:1, 小菅 経子:1, 荒井 勝彦:1, 木村 英明:2, 福島 恒男:3
1:横浜市立市民病院 炎症性腸疾患科, 2:横浜市立大学附属市民総合医療センター 炎症性腸疾患(IBD)センター, 3:松島病院 外科

【目的】潰瘍性大腸炎に対する回腸嚢肛門管吻合術は標準術式のひとつであり,当科では小開腹術による一期手術を原則としている.今回は小開腹によるJ型回腸嚢肛門管吻合術(一期手術)の手技と工夫をビデオで供覧し,成績とともにその位置づけを検討した.
【対象,方法】本手術の手技をビデオで供覧する.回腸嚢肛門管吻合術を行った自験潰瘍性大腸炎のうち80%に一期手術を行っており,集計した589例(重症23%,難治72%,癌,dysplasia 5%)について術中,術後成績を検討した.
【結果】1)手術手技:開腹は通常,臍下から長さ8cmの下腹部正中切開で行う.術前注腸造影検査で脾弯曲が高位であっても術中の適切な足側への牽引により,切開層を延長することなく剥離できることが多い.大腸の高度炎症例,直腸が肥厚して骨盤内を占拠している例,BMI高値例では適宜,切開創を上下に延長する.MA鉤を左右頭側で移動させて使用し,適宜,開腹窓を移動しながら結腸を適正に牽引して盲腸からS状結腸までを授動,直腸周囲の剥離は直腸鉤で膀胱,精嚢腺,子宮を足側に牽引することによって十分な視野を得ている.直腸の剥離は前壁は歯状線から約2cm口側,後壁は歯状線の高さ,または1cm肛門側まで行い,直腸を自動縫合器で切離する.J型回腸嚢を作成,double stapling tachniqueで後壁は原則として吻合線が肛門管内になるように吻合する.当科では吻合が確実であればステロイド大量投与であっても原則として人工肛門を造設しない.2)術中,術後経過:手術時間は平均238分(137-550),術中出血量は平均368ml(20-2000)であった.吻合部縫合不全発生率は7.8%で人工肛門造設術を必要とした縫合不全は3%であった.
【結論】潰瘍性大腸炎に対する小開腹によるJ型回腸嚢肛門管吻合術は適正な手技により一期手術が可能で,整容性にも優れ,術後経過も良好であり,至適手術のひとつと考えられた.症例により創の延長,人工肛門造設を考慮することが必要である.
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