演題

RS1-31-13-4

潰瘍性大腸炎に対するreduced port surgery (RPS)の工夫

[演者] 矢作 雅史:1
[著者] 石井 良幸:1,2, 村田 健:1, 金田 宗久:1, 鈴木 慶一:1, 菊池 史郎:1, 渡邊 昌彦:1,2
1:北里大学北里研究所病院 外科, 2:北里大学医学部 外科

潰瘍性大腸炎はクローン病と並ぶ難治性の炎症性腸疾患の1つであり,治療としては薬物療法が原則であるが,重症型で内科的治療が無効,内科的治療に難治性な症例,癌化例(高度異型も含む),中毒性巨大結腸症など外科治療の適応となる症例も少なくない.腹腔鏡下手術はその低侵襲性,整容性と特に大腸手術では骨盤内の操作性から急速に普及しており,本疾患の外科治療としても有用と考えられる.我々はさらなる低侵襲性・整容性を追求すべくreduced port surgery (RPS)を導入している.そこで,当院における大腸全摘術のRPSの手術手技と工夫について供覧する.
通常,術式は大腸全摘術,J型回腸嚢肛門(管)吻合としdiverting ileostomyを造設している.患者体位は開脚・仰臥位で,ストマ造設予定部位にmulti-instrument access port (MIAP)を装着し気腹を開始する.上腹部正中と左側腹部に5 mm portをそれぞれ挿入し,術者は基本的にMIAPの1 channelと5 mm portを用いtrianglationを形成・保持して操作を行う.右側結腸から剥離・血管処理を開始し,時計回りに左側結腸へ進める.右側結腸を後腹膜下筋膜前面の層を保ち剥離・授動し,回結腸・右結腸・中結腸(右枝)動静脈を末梢側で切離する.血管処理はシーリングデバイスで行いクリップは用いない.可能な範囲で大網を温存して網嚢を開放し,下行結腸から脾彎曲部までを完全に剥離・授動し中結腸(左枝)動静脈を切離する.さらにS状結腸を内側アプローチにて剥離し,下腸間膜動静脈を切離するが,この際も下腹神経を損傷しないように末梢側で処理を行う.直腸の剥離操作においては,組織緊張が不十分な部分ではシーリングデバイスなどを用いて肛門挙筋のレベルまで十分に剥離し直腸を授動する.直腸切離と検体の摘出はMIAPより行うが,腸間膜脂肪織の少ない症例ではeversion techniqueを選択する場合もある.体外操作にて回腸末端で切離しJ型回腸囊を作成してdouble stapling techniqueにより肛門管と吻合する.左側腹部のportよりドレーンを挿入後,loop ileostomyを造設して手術を終了する.
2014年4月から内科的治療抵抗性6例に本法を施行した.手術時間,出血量,術後在院日数の中央値(範囲)はそれぞれ362(215-636)分,50(10-460)mL,9(7-14)日であった.開腹移行例はなく,明らかな術後合併症も認めなかった.潰瘍性大腸炎に対するRPSは低侵襲性・整容性に優れ,安全に施行可能な手技と考えられた.
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