演題

RS2-69-9-6

手術動画から検証した腹腔鏡下直腸癌手術における出血の傾向と対策

[演者] 外岡 亨:1
[著者] 滝口 伸浩:1, 鍋谷 圭宏:1, 高山 亘:1, 池田 篤:1, 早田 浩明:1, 千葉 聡:1, 星野 敢:1, 有光 秀仁:1, 柳橋 浩男:1
1:千葉県がんセンター 消化器外科

【緒言】直腸癌に対する腹腔鏡下手術の術者にとっての利点は,拡大視効果による繊細な手術手技が可能であることや気腹圧により術中出血がコントロールされやすい点が挙げられる.一方で,骨盤内の狭小領域で一度術中出血をきたすと,視野の確保,場の展開,止血手技に難渋する可能性がある.【目的】手術動画の検証から,腹腔鏡下低位前方切除術における術中出血をきたし止血を要する部位を把握し,その止血対応,出血回避策を考察する.【対象と方法】腹腔鏡下低位前方切除術が施行された直腸癌症例5例の手術録画動画から,術中出血をきたし止血を要した部位,止血方法を確認した.また,術中に主に使用したデバイス,止血に用いたデバイス,止血難易度,年齢,性別,BMI,手術時間,出血量,なども検証した.【結果】直腸周囲剥離において出血を来しやすい部位を,以下の領域に分けて検証した.すなわち,前壁側(直腸尿道筋,直腸膣中隔:A領域),前側方側(NVB近傍:AL領域),側方側(側方靭帯:L領域),後壁側(肛門挙筋前,中直腸動静脈:P領域)に分けて,止血を要した頻度を確認した.AL領域で止血を要したのは4/5例で最も多く,止血にモノポーラソフト凝固以外にバイポーラ凝固を要した症例も存在した.次に,L領域で止血を要したのは2/5例で,モノポーラソフト凝固での複数回の操作で止血が得られた.A領域,P領域で止血を要したのはそれぞれ1例ずつで,モノポーラソフト凝固での単回操作で止血が得られていた.主にスパチュラ型モノポーラ電気メスを使用しており,凝固モードで止血が得られず吸引を要した場合,デバイスの入れ替えが必要であった.超音波凝固切開装置を主に使用していた症例では出血の頻度が少なかった.症例の内訳は,平均年齢67.6歳,男女比1:4,平均BMI 21.4で,出血との関連性の傾向は認めず,平均手術時間264分,平均出血量10gであった.【結語】手術動画の検証から,腹腔鏡下低位前方切除術において出血を来しやすい部位として,直腸の前側方,側方領域が挙げられ,同部位が易出血領域であるという認識と出血を可及的に避けるための慎重な手術操作が重要である.出血に対する対処法としては,圧迫止血,凝固止血(ソフト凝固含むモノポーラ,バイポーラ),縫合止血,貼付型等の止血剤,などが考慮されるが,狭い骨盤内での出血に対しては,デバイスの入れ替えを要さずに止血を得る工夫も必要となる.
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