演題

RS2-69-9-5

腹腔鏡下直腸癌手術における出血と対処法

[演者] 永井 俊太郎:1
[著者] 真鍋 達也:1, 永吉 絹子:1, 貞苅 良彦:1, 藤田 逸人:1, 大塚 隆生:1, 永井 英司:1, 中村 雅史:1
1:九州大学大学院 臨床・腫瘍外科学

腹腔鏡下手術はその拡大視効果や繊細な画像が利点として挙げられ,腹腔鏡下大腸癌手術も多くの施設で取り入れられている.特に,骨盤深部での操作が必要となる直腸癌手術においては,より腹腔鏡のメリットが生かされると考えられ,当科でも直腸癌手術のほとんどで腹腔鏡下手術を行っている.腹腔鏡下手術の利点の一つとして出血量の減少が上げられるが,一度出血してしまうと開腹手術と比較して限られた視野・操作等のため止血困難となることもあり,正確な手術遂行が困難で不十分な手術,あるいは開腹移行へとつながる可能性がある.そのため,腹腔鏡下手術の術者は出血時への対処法を熟知しておかなくてはならない.今回,当科における腹腔鏡下直腸癌手術時の出血症例の検討を行い,出血時の対処法を供覧する.
当科において2011年1月~2016年11月に施行した腹腔鏡下直腸癌手術221例を検討した.平均手術時間は409分,平均出血量は188gであった.術中,有意な出血があると認められたものは11例.平均手術時間は644分,平均出血量は1099gであった.11例の内,8例は側方郭清時の出血であった.出血のために開腹移行となった症例は1例のみであった.
出血時の対処法としてはまず,圧迫が重要である.ガーゼあるいは鉗子把持で出血点の圧迫を行う.圧迫することにより出血がコントロールできれば精神的にも一呼吸置くことができる.圧迫を行うだけで止血できることも多いが,止血できていなくても下火になれば出血点が確認でき,止血方法を検討することができる.圧迫している間に気腹圧を上げることも検討する.合併症を考慮しなければならないが,気腹圧による出血抑制は腹腔鏡下手術の利点でもある.止血には電気デバイスによる止血・クリップによる止血・凝固剤による止血・縫合による止血などが挙げられるが,状況に応じ使い分け止血する.いずれの場合でも,視野の確保が重要であるが,我々は送水・吸引機能付き電極に電気メスを接続し,視野を確保しながらソフト凝固モードで凝固止血する方法を用いている.そして,安全な手術の遂行のためには開腹移行をためらってはならないと考える.
腹腔鏡下手術において出血はそのクオリティーを低下させる要因となる.出血させないことが一番ではあるが,出血した場合に対するさまざまな対処法を身につけておくことは必須であると考える.
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