演題

RS2-69-9-4

腹腔鏡下直腸がん手術時の出血に対するトラブルシューティング

[演者] 吉満 政義:1
[著者] 三口 真司:1, 北川 浩樹:1, 黒川 知彰:1, 中島 亨:1, 大森 一郎:1, 小橋 俊彦:1, 檜原 淳:1, 向田 秀則:1, 平林 直樹:1
1:広島市立安佐市民病院 外科

我々は腹腔鏡下直腸がん手術時の出血対処に凝固電極付き送水吸引管によるモノポーラーソフト凝固を使用している.当院において腹腔鏡下直腸がん手術に対する術式の定型化がなされた2013年1月~2016年11月を対象とした.上部下部直腸がん根治術157例中腹腔鏡下手術は141例であり,術式は低位前方切除73例,超低位前方切除29例,腹会陰式直腸切断術27例(側方郭清17例),ハルトマン手術7例,内肛門括約筋切除4例,骨盤内蔵全摘1例であった.凝固電極付き送水吸引管導入前後で出血量を比較すると,前58例:中央値50ml( 5-760ml),後83例:中央値40ml (0-420ml)であり,有意差は認めなかった.また比較的切除範囲の類似している側方郭清を行わない低位前方切除・超低位前方切除・内肛門括約筋切除の99例を比較しても前43例:中央値35ml (0-300ml),後56例:中央値26ml( 0-350ml)で有意差は認めなかった.定型化のなされた当科の腹腔鏡下直腸がん手術においては凝固電極付き送水吸引管によるモノポーラーソフト凝固導入前後の症例検討では出血量に関して明らかなデータ上の改善は見られなかったが,直腸癌手術のピットホールである①神経血管束周囲の出血(症例1)②仙骨静脈からの出血(症例2)③側方郭清時の内腸骨静脈からの出血(症例3)で良好に止血が得られた症例を経験したのでその手技を動画にて供覧する.
症例1:ヘラ型電気メスで神経血管束近傍を剥離中に出血をきたした.電気メスとバイポーラでの止血が困難であり,凝固電極付き送水吸引管によるモノポーラーソフト凝固で止血した.
症例2:直腸背側をヘラ型電気メスで剥離中に仙骨静脈からの出血をきたした.凝固電極付き送水吸引管によるモノポーラーソフト凝固で一旦止血.非優位鉗子止血点をガーゼ圧迫しつつ周囲をLCSで剥離し良好な視野を確保した.再度止血点を観察しoozingを認めたため追加止血した.
症例3:側方郭清時に内腸骨静脈より出血をきたした.一旦ガーゼ圧迫し,出血点を確認し凝固電極付き送水吸引管モノポーラーソフト凝固にて止血した.止血部位近傍にリンパ節が残存している可能性と後出血のリスクを考慮したため,その後止血した静脈はリンパ節を含めてクリッピング切除した.
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