演題

RS2-69-9-3

腹腔鏡下直腸癌手術における縫合処置によるトラブルシューティング

[演者] 御井 保彦:1
[著者] 小濱 拓也:1, 阿部 智喜:1, 浦出 剛史:1, 村田 晃一:1, 沢 秀博:1, 万井 真理子:1, 岡 成光:1, 岩谷 慶照:1, 黒田 大介:1
1:北播磨総合医療センター

腹腔鏡下の直腸癌手術は年々普及しており,低位の直腸癌に対する手術も広く行われるようになってきている.しかし,低位の直腸癌手術は狭骨盤症例や肥満症例等の患者因子によって手術の難易度が格段に高くなることがあり,そのような症例で偶発的な副損傷を来した場合は修復に高い技術を要する可能性がある.低位の直腸癌手術では術者鉗子,助手鉗子,カメラと全ての挿入物が同じベクトルで骨盤底に向かうため,術者鉗子のワーキングスペースがかなり制限された状態で副損傷に対する処置を余儀なくされる.単純な圧迫や焼灼止血処置に留まらず,直腸癌手術の場合は隣接重要臓器の損傷に対する縫合修復や大血管の縫合止血,直腸吻合部の縫合修復等の高度な縫合手技が要求される可能性がある.よって低位の直腸癌手術を施行するに際しては,鉗子操作が非常に制限された状況下で縫合処置が要求される場面に遭遇し得ることを想定しておくべきであり,日々の手術においてその準備をしておくことが重要であると考える.当科ではDST(Double Stapling Technique)にて腸管吻合を施行した場合,全例で吻合部に3針の補強縫合を加えている.補強縫合は吻合部腹側正中を0時として,2時,6時,10時のCircular Staplerの部位に施行しており,補強縫合後の内視鏡を用いたleak testの結果にて追加縫合を加える場合がある.低位での吻合の場合はかなり鉗子操作が制限された状態での縫合,結紮が余儀なくされるが,症例を重ねる中で運針のコツや使用鉗子の選択,助手との連携等の手順が定型化されてきた.このような厳しい状況下での縫合操作を通常の手術手順に組み込むことにより,本来の補強縫合の目的である縫合不全の発症率の低下に加えて,偶発的副損傷を来した場合の修復操作においても確実な縫合処置が可能となった.これらは助手との連携も含めてドライボックスでの鍛錬のみでは習得できない技術であり,直腸癌手術における吻合部の補強縫合は通常手術に組み込むべき手順であると考えている.当科での腹腔鏡下直腸癌手術の吻合部補強縫合の部位別の手順を供覧して頂き,縫合修復を必要とした側方郭清時の外腸骨静脈損傷に対する縫合止血,膣壁損傷に対する縫合閉鎖等の実際の症例の手技を紹介する.
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