演題

RS2-69-9-2

経肛門的直腸腫瘍切除(TAMIS)の際に切除断端陰性を担保するための工夫

[演者] 大東 誠司:1
[著者] 武田 崇志:1, 渡辺 貴之:1, 藤川 葵:1, 鈴木 研裕:1, 嶋田 元:1, 砂川 宏樹:1, 久保田 啓介:1, 岸田 明博:1
1:聖路加国際病院 外科

【目的】直腸腫瘍に対する経肛門的腫瘍切除法として,近年,腹腔鏡手技を応用したTransanal minimally invasive surgery(TAMIS)が注目されている.明瞭な近接拡大視野のなかでの手術は確かに有用であるが,一方,限られた狭いスペースの中で切除断端を確実に陰性にすることは必ずしも容易ではなく,局所再発率が高いことが課題といえる.今回,我々の行っているendoscopic submucosal dissection(ESD)の手技を応用した断端陰性を担保するためのTAMISを紹介する.
【手術術式】体位は腫瘍が6時方向になるよう前壁腫瘍では腹臥位ジャックナイフ体位,後壁腫瘍では砕石位とする.プラットフォームはGelPOINT Pathを使用し,10-12mmHgで直腸内を気腹する.内視鏡は腹腔鏡用ではなく,ESDの際に常用しているオリンパスGIF-Q260Jを用いている.通常のESDの方法に準じ,まず腫瘍周囲にインジゴカルミンを混じたヒアルロン酸を粘膜下層に注入する.次に,腫瘍から10mm程度の距離を置いて腫瘍周囲の粘膜,さらには粘膜下層をDual KinifeJを用いて切開する.こののち,腫瘍肛門側から腫瘍の深達度に応じて筋層,あるいは腸管全層まで切開し,垂直断端を確実に担保したうえで適切な深部の切離層を確認する.水平断端は轍のように形成された粘膜欠損部が指標になるため,垂直面を一定に保ちながら確実に粘膜欠損部を目指して切離操作を行う.この際,ハーモニックなどのエネルギーデバイスを用いて切離することで,dryな視野で確実に垂直ならびに水平断端を担保しながら腫瘍切除を行うことができる.腫瘍切除ののち直腸欠損部は十分に洗浄する.欠損部の縫合は可能であれば腸管軸に垂直に行うが,欠損が大きい場合には必ずしも容易ではない.困難な場合には,筋層と粘膜の層々吻合の方針とし,まずは筋層を連続縫合ののち,粘膜・粘膜下層の欠損部は内視鏡下に金属クリップを用いて閉鎖する.本法は特殊な器具は必要なく,通常のESDと腹腔鏡手術で使用する器機あるいは鉗子で対応可能である.今回供覧するケースは80歳台,男性,Rb直腸癌,中分化腺癌,深達度T2,35×30mm.心機能に併存疾患を抱えるために根治術を拒否され,本法に準じ確実な断端陰性を担保したTAMISを行った.
【結論】本法は確実な切除断端陰性を担保したTAMISが可能である.比較的腫瘍径の大きな腫瘍,筋層切除が予想されるT1以深の悪性腫瘍(癌,NET)などの直腸腫瘍が良い適応になると考える.
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