演題

RS2-68-9-6

腹腔鏡下肥満直腸癌症例に対する偶発症と予防対策

[演者] 大塚 幸喜:1
[著者] 木村 聡元:1, 箱崎 将規:1, 八重樫 瑞典:1, 高清水 清治:1, 高原 武志:1, 秋山 有史:1, 岩谷 岳:1, 肥田 圭介:1, 佐々木 章:1
1:岩手医科大学医学部 外科学

[はじめに]肥満消化器癌症例に対する外科手術は,内臓脂肪による視野不良のため非肥満症例より長時間を要し出血量が多く,その結果術後合併症は高率であることが報告されている.さらに術中偶発症の危険性も高く,短期合併症ばかりか,長期成績にまで影響を来たす可能性がある.当教室では,2016年12月までに1901例の腹腔鏡下大腸癌を経験し,肥満大腸癌に対する腹腔鏡手術の有用性を報告してきたが,術中・術後予期せぬ偶発症や合併症も経験してきた.今回,肥満直腸癌に対する腹腔鏡手術の偶発症を報告し,手術手技と周術期管理の工夫についてビデオを供覧し報告する.[事象1]内側アプローチ時の小腸排除困難による視野不良に対し,右上腹部に5mmポート追加し,スコピストに回腸排除させることによって,視野確保可能である.[事象2]ハーモニックによるTME時に仙骨前面が脂肪組織で覆われていたため正中仙骨血管に気づかず損傷.ハーモニックの先端の方向には十分注意する必要がある.[事象3]低位前方切除後に経肛門ドレーンを挿入したが,内臓脂肪のためドレーン先端位置が不明のまま留置.5病日目に直腸穿孔来たし腹膜炎を併発し緊急手術となった.経肛門ドレーンの先端が吻合部から10cm口側腸管の後壁を貫通していた.ドレーン先端位置は,経肛門的に測定し吻合部から5cm口側に留置することを徹底.[その他の対策] MBI30以上の直腸癌症例に対して,①視野展開を良好に保つために気腹圧は12~15mmHgとし,additional portは惜しまない.②経験を積んだ技術認定医が執刀,もしくは助手を行う.③術前約一ヶ月間の食事療法による減量を行う.[結語]肥満直腸癌に対する腹腔鏡手術は,視野展開の工夫,肥満特有の解剖学的特徴の理解が重要であり,経験のある技術認定医が行うべきである.また,ハイリスクであることを患者自身に認識させ,術前の効率的な食事療法による減量は,術中・術後の合併症軽減には非常に重要であると考える.当教室で行っている,術前栄養マニュアルも報告する.
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