演題

RS2-68-9-5

直腸がん手術に対するTotal mesorectal excisionにおけるpit fallとトラブル回避の工夫

[演者] 塩見 明生:1
[著者] 絹笠 祐介:1, 山口 智弘:1, 賀川 弘康:1, 山川 雄士:1, 沼田 正勝:1, 古谷 晃伸:1, 寺島 雅典:2, 上坂 克彦:2
1:静岡県立静岡がんセンター 大腸外科, 2:静岡県立静岡がんセンター 消化器外科

【はじめに】
鏡視下直腸癌手術における術中トラブルは,排尿性機能障害を中心とする手術手技に関わる合併症を引き起こすのみでなく,癌の根治性を損なうことになる.これらを回避することがきわめて重要である.
【目的】2016年12月までに882例の従来式および549例のロボット支援下直腸癌手術を施行した.肛門管内までの直腸授動を必要とする超低位直腸癌に対するTotal mesorectal excision (TME)をビデオで提示し,術中トラブル回避のための工夫を示す.
【手術手技】
TMEでは腹腔鏡の遠景・近接画像を使い分け,骨盤内の解剖学的構造と腫瘍の位置関係を広く俯瞰しながら手術を進めることが重要である.前壁ではDenonvilliers'筋膜,後壁では下腹神経前筋膜をメルクマールとし,腫瘍状況を考慮しながら剥離層を個々に選択する.骨盤深部へ至るほど剥離間隙は狭くなるが,正確な鋭的剥離に努める.正確な自律神経温存が排尿性機能障害回避に重要である.排便障害の観点から,肛門挙筋神経を損傷しないように肛門管上縁まで肛門挙筋筋膜を温存するようにしている.肛門管上縁で同筋膜を切開し内外括約筋間を剥離する.温存すべき肛門挙筋・外肛門括約筋の熱損傷に留意する.左右からの括約筋間剥離を行なった後,後壁の肛門尾骨靭帯(ACL)を切離する.ACLと直腸壁の明確な境界を認識することはできず,左右から直腸後側壁の輪郭を想定し,それを連続させる形で鋭的に切離することで直腸損傷を回避できると考える.ACLを直腸壁からどれくらい離れて切離するかは腫瘍状況に応じて決定する.
肛門管上縁近傍の前側壁で,骨盤神経叢からの直腸枝下群を切離する.細血管を伴うので出血に注意する.同部も括約筋間に入りやすい部位である.腫瘍の存在しない部分から括約筋間に進入すべきであり,様々な選択肢を持つことは重要である.
【結語】TMEにおけるトラブル回避のピットフォールを理解することが重要であると考える.
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