演題

RS2-68-9-4

腹腔鏡下直腸癌手術における術中合併症とその対策

[演者] 坂本 一博:1
[著者] 石山 隼:1, 杉本 起一:1, 神山 博彦:1, 高橋 玄:1, 小島 豊:1, 五藤 倫敏:1, 福永 哲:2, 梶山 美明:2, 川崎 誠治:2
1:順天堂大学医学部 下部消化管外科学, 2:順天堂大学医学部 消化器外科

【はじめに】結腸癌に対する腹腔鏡下大腸切除は,多くの施設で行われるようになり,その比率も年々上昇している.また,直腸癌に対しても骨盤内の拡大視効果や手術手技ならびに機器の向上により,腹腔鏡下手術が増加している.今回,直腸癌に対する腹腔鏡下手術における術中合併症(IOC)とその対処法について臨床的検討を行った.
【対象】対象は,2000年1月から2016年10月までに,直腸癌(Ra,Rb)に対して腹腔鏡下に原発巣切除を施行した295例とした.大腸多発癌症例,再発症例,非切除症例は除外した.年齢は64歳(25~86歳),男性:192例,女性103例であった.占居部位はRa:141例,Rb:154例で,前治療はCRT:28例,NAC:28例に施行した.術式では,AR/LAR:192例,APR:59例,Hartmann:10例,ISR:34例で,側方リンパ節郭清(LPLND):41例,一時的人工肛門造設:104例であった.
【結果】IOCを認めた症例は63例(22.7%)で,65件であった.その内訳は,出血:32件(49%),DST吻合トラブル:13件(20%),腸管損傷:12件(18%),臓器損傷3件(5%)その他:5件(8%)であった.出血の内訳は,静脈:11件,動脈:9件,剥離面:6件,実質臓器:4件などで,16件(50%)が骨盤内操作で発生していた.対処法では,ガーゼ・サージセルTM圧迫,ソフト凝固,クリップなどの腹腔内操作で止血され,小開腹下操作は1例で,開腹移行症例はなかった.DST吻合に関するものは13件で,器械トラブル:5件,手技によるもの:1件,術中内視鏡によるリークテスト陽性:5件,吻合部出血:1件であった.DST吻合に関する症例では,全例術中内視鏡観察を行い,3例で体内縫合が追加されたが,11例(85%)で回腸瘻造設を施行した.開腹移行症例は6例(2%)に認められ,IOCに伴う症例は尿管損傷(2例)であった.
【まとめ】術中合併症を防ぐためには,視野展開を行い良好な骨盤内視野の確保し,外科的解剖を十分に理解することが重要である.血管出血では,良好な視野を保ち,止血材やデバイスを有効に使用することが重要であると考えられた.
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