演題

SY06-9

術中エラストグラフィを用いた膵切除後膵液瘻の予防と対策について

[演者] 伊東 昌広:1,2
[著者] 浅野 之夫:1, 川辺 則彦:1, 永田 英秀:1, 荒川 敏:1, 伊藤 良太郎:1, 清水 謙太郎:1, 伊勢谷 昌志:1, 堀口 明彦:1
1:藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 外科, 2:藤田保健衛生大学病院, 安全管理室

【はじめに】膵頭十二指腸切除術(pancreatoduodenectomy : PD)後の合併症に膵液瘻(pancreatic fistula : PF)がある.PFは,膵の硬化度により発生頻度が異なる.しかし,膵の硬化度は,熟練した膵臓外科医の触診で主観的に判断されており,一定の数値化されたものは確立していない.今回,我々は術中エラストグラフィーを用いて,術中リアルタイムに膵の硬度を計測し,術後PFの発生率との関連性を検討した.【方法】Siemens Medical Systems社製のACUSON S2000による Acoustic Radiation Force Impulse (ARFI)を使用してVelocity of shear wave (Vs値, m/s)を計測する.膵切除施行時,被験者の膵切離断端周囲10カ所のVelocity of shear wave (Vs値, m/s)を測定し,上下2測定値を除いた8測定値の平均値を測定値とした.PFはISGPFに準じて評価した.膵漏なしとGrade Aを膵漏なし群,Grade B,Cを膵漏あり群とした.【対象】2012年6月~2016年12月にPDを施行した症例のうち,エラストグラフィーを施行した62例を対象とした.【結果】疾患の内訳は膵癌31例,IPMN15例,遠位胆管癌8例,十二指腸乳頭部癌3例,P- NET,SCN,その他が5例であった.膵瘻あり,なしにて検討するとVs値のcut off値は1.885であった.また,年令,性別,BMI,主膵管径,術前アルブミン値,手術時間,出血量,糖尿病罹患の有無,膵癌か否か,Vs値にて術後PFとの関連性を検討すると,単変量解析では年令,糖尿病罹患の有無,膵癌か否か,Vs値が残り,多変量解析では膵癌か否か,またVs値が独立した因子であった.【考察】腫瘍による膵管閉塞を伴う膵癌症例ではVs値が高く,残膵の硬化が伺われた.エラストグラフィーによる膵硬度と術後PFの発生の関連性が示唆された.【まとめ】エラストグラフィーによるVs値はsoft pancreasの客観的な指標となり得る.今後手術おいて個々の症例に対しオーダーメイド的に膵管チューブの挿入の有無や吻合方法においてもバリエーションを持って対応することができると考えられた.
詳細検索