演題

RS2-68-9-3

腹腔鏡下直腸切除におけるトラブルシューティングの実際

[演者] 野中 隆:1
[著者] 富永 哲郎:1, 若田 幸樹:1, 飛永 修一:1, 國崎 真己:1, 角田 順久:1, 日高 重和:1, 澤井 照光:1, 永安 武:1
1:長崎大学医学部 外科学第一

【はじめに】本邦における直腸癌に対する腹腔鏡手術数は年々増加している.エネルギーデバイスの進歩や手術機器の進歩も伴って高度進行癌や側方郭清など難度の高い症例へと適応拡大が進んでいる.手術難度が高くなるにつれて術中に生じるトラブルが発生する可能性は高くなると考えられ,術中に生じうるトラブルはあらかじめ想定したうえで対応策を準備して手術に望む必要がある.今回は腹腔鏡下直腸切除におけるトラブル症例を提示し,その対応を含めて報告する.【症例】<Case1>神経血管束(NVB)からの出血の症例.直腸周囲剥離時にNVB側の深い層へと侵入することがまれにある.意図して切り込む場合と比較し,その止血に難渋することが多い.本症例ではリガシュアーを半開き状態で出血面に圧しながら焼くことで,平面での静脈性の止血が可能であった.<Case2>大静脈系からの出血:低位前方切除時,デバイスの出し入れ操作時の内腸骨静脈の損傷.圧迫にて出血をある程度コントロールした後に周囲の血流を処断しつつ静脈損傷部を確認し,4-0プローリンにて鏡視下縫合止血しえた.<Case3>側方郭清時の尿管損傷(完全離断)に対し鏡視下端々縫合を行った.膀胱流入部近傍での操作であり拡大視効果は有用であった.<Case4>前方切除術後の再建結腸壊死:低位前方切除術後3日目に発覚した縫合不全を伴った再建結腸壊死.初回手術後から比較的早い時期の手術であったため癒着はごく軽度で,吸引器具を用いた鈍的剥離で吻合部へ容易にアプローチしえた.吻合部口側の壊死腸管の範囲を確認し,吻合部肛門側への直腸授動操作を追加し吻合部切除・再吻合を行った.【まとめ】術中出血のトラブルには圧迫操作によってコントロールが可能であることが必要最低条件である.出血点への盲目的なクリップやエネルギーデバイスによる強引な止血は次の一手が打てなくなる可能性もあり慎まなければならない.圧迫している間に止血の手順をチームで確認することで,安全なトラブルシューティングが可能となる.また腹腔鏡下直腸切除後の縫合不全に対して,癒着が軽度な術後早期であれば鏡視下のアプローチが有用であった.
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