演題

RS1-10-7-4

Strategyに基づいた腹腔鏡下横行結腸癌手術

[演者] 松村 直樹:1
[著者] 徳村 弘実:1, 西條 文人:1, 片寄 友:1, 野村 良平:1, 武藤 満完:1, 安本 明浩:1, 澤田 健太郎:1, 千年 大勝:1, 佐藤 馨:1
1:独立行政法人 労働者健康安全機構 東北労災病院 外科・内視鏡下手術センター

【はじめに】横行結腸癌に対する腹腔鏡手術は難易度が高い.横行結腸間膜の展開を何度も繰り返し肥満や癒着を理由に「頭側,内側アプローチを症例によって使い分ける」のでは決して標準化とは言えない.当科での標準化された腹腔鏡下横行結腸癌手術のStrategyと手術手技を報告する.【アプローチからみた解剖の問題点】Strategyの本質は「安全な中結腸領域のリンパ節郭清と間膜の切離」である.内側アプローチの利点は中央部で血管に到達しやすいが,左側では膵が見えず網嚢内は癒着していることが多く,間膜の切離や郭清の上縁はわかりにくい.外側(頭側)アプローチの利点は膵下縁が直視できるので間膜を適切に切離できるが,右側では外側からの脈管処理は肥満症例や大網の不規則な癒着症例では血管の同定に難渋することがある.つまり,左側は外側アプローチ先行,右側はリンパ節郭清を含む内側アプローチ先行が最も良い.【横行結腸癌の手術手技】1)左側外側アプローチ:大網を切離し網嚢右界-脾弯曲間の網嚢を解放する.膵下縁で網嚢後壁と間膜前葉を切離し菲薄化しガーゼを置く.2)左側内側アプローチ:頭側に展開し,間膜後葉越しに透見できるガーゼを指標に間膜後葉を切離し,windowを作成する.3)右側内側アプローチ:(右半結腸切除では回盲部から頭側へ進め)間膜を十二指腸と膵前面から剥離する.上腸間膜静脈末梢で郭清を開始し尾側から胃結腸静脈管(GTH: gastrocolic trunk of Henle)と副右結腸静脈(ARCV)の分岐に達する.ARCVは間膜後葉のlayerから透見され支持される.ARCVの切離では周囲のlayerの切離を最小限にして支持構造を残し引き抜き損傷を防ぐ.中結腸領域の郭清は,右側はGTH,左側は間膜のwindowから膵下縁を見てリンパ節郭清の上縁を認識することで膵損傷なく安全に施行可能となる.膵前面とwindowにガーゼを置く.4)右側外側アプローチ:ガーゼを指標に右側の胃結腸間膜と間膜前葉のlayerを切離する.すでに脈管は全て切離できているので,単純に膵から安全に間膜の切離が完了する.【結果】このStrategyで定型化した2012年3月以降,46例の横行結腸癌に対して腹腔鏡手術を施行した.手術時間は261分(中央値),出血量27ml(中央値),開腹移行0例,縫合不全を含むClavien-Dindo分類IIIb以上の重篤な合併症はない.【まとめ】Strategyに基づいた横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術は安全に行える.
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