演題

RS1-10-7-2

網嚢開放先行アプローチによる中央部~左側横行結腸癌に対する腹腔鏡下横行結腸切除術~CMEとCVLの追求~

[演者] 加藤 大:1
[著者] 大石 正博:1, 小寺 正人:1, 山村 方夫:1, 池田 秀明:1, 水野 憲治:1, 谷 悠真:1
1:鳥取市立病院 外科

大腸癌に対して腹腔鏡手術を導入する施設は年々増えているが,ガイドラインにも明記してあるように,横行結腸癌に対する腹腔鏡手術は非常に難易度が高い.結腸癌に対する手術で大切なのは完全結腸間膜切除(CME)と3群リンパ節郭清術(CVL)である.これを確実に安全に行うことが手術の全てであると言っても過言ではなく,さらに低侵襲である腹腔鏡手術で行えるならば,望ましいことである.しかし,横行結腸癌は解剖学的特性,血管のvariation等により適応外にしている施設も少なくない.中央~左側横行結腸癌は大腸癌の中でも特に発生頻度が少なく,最も手術手技を定型化しにくい大腸癌と言える.我々は,膜の解剖を理解することにより中結腸動脈根部に安全にアプローチし,安全で確実なリンパ節郭清(CVL),膵臓および十二指腸の確実な損傷回避を行いつつ,完全横行結腸間膜切除(CME)の手技を行っている.まず開脚位かつやや頭高位とし,臍部と両側上下腹部の5ポートで手術開始.大網を切離し網嚢を開放.膵頭部で膵前筋膜と横行結腸間膜の間のfusion fasciaを剥離後,Henle胃結腸静脈幹~中結腸静脈,副右結腸静脈,前上膵頭十二指腸静脈,右胃大網静脈等を確認.中結腸静脈および副右結腸静脈を切離.膵体部下縁,上腸間膜動静脈を充分に露出し,のちの中結腸動脈周囲リンパ節(#223)郭清の際の受けを作る.十二指腸下行脚~水平脚および膵鉤部を露出後,結腸肝靭帯を切離し結腸肝彎曲部を授動.体位を水平位に戻した後,横行結腸を頭側に展開.十二指腸水平脚前面で結腸間膜を切開し網嚢腔と開通させた後,上腸間膜動静脈を露出.#223リンパ節を郭清し根部をclipping後切離し,腹腔内操作を終了.臍部創より腫瘍を腹腔外に取り出し切除後再建.腹腔内の洗浄処置し手術を終了.この手術手技の最大の利点は,膵下縁で横行結腸間膜基部を切開しさらに中結腸静脈処理を先行することにより,横行結腸間膜基部をスリム化し,後の#223リンパ節郭清の際の受けを作ることである.先に膵下縁に空間を作ることにより,後の中結腸動脈根部に積極的にアプローチすることが可能になる.根部処理の際にはその背側・頭側に膵臓がはっきり確認できるため非常に安心感があり,また術野を広く認識して手術が行える.膵臓,十二指腸も安全に損傷なく温存可能である.また術者のストレス軽減にも繋がっている.我々の手術手技を供覧する.
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