演題

SY06-7

尾側膵切除術後の膵液瘻に対する術後炎症反応の推移と膵断端貯留液CT値からみた治療戦略

[演者] 栗山 直久:1
[著者] 飯澤 祐介:1, 加藤 宏之:1, 村田 泰洋:1, 種村 彰洋:1, 岸和田 昌之:1, 水野 修吾:1, 臼井 正信:1, 櫻井 洋至:1, 伊佐地 秀司:1
1:三重大学大学院 肝胆膵・移植外科学

尾側膵切除術において術後膵液瘻は比較的高頻度に発症し, 特に感染性膵液瘻は重篤な合併症を来す可能性があり, 適切な治療が必要であるが, 未だ確立された診断法はない. そこで我々は, 膵液瘻のリスク因子と術後の炎症反応との関連性を明らかにし, 適切な治療法の確立を目指し検討を行った.
【対象と方法】2006年1月~2015年12月に施行した尾側膵切除138例を対象とし, ISGPF grade Aは 17例(12%), Bは34例(25%), Cは4例(3%)認め, B以上を膵液瘻と定義し, 術前及び術中因子を用いてリスク因子解析を行った. また炎症反応指標として術後1,3,6-7日目の白血球数とCRP値, 膵断端貯留液量とCT値を測定し, ROC解析を用いて検討を行った.
【結 果】膵液瘻の術前及び術中リスク因子として単変量解析では高BMI, 糖尿病非合併, 高Hb値, 高アルブミン値, 高コレステロール値, 高Ch-E値, 高PNI(prognostic nutritional index)値が検出され, 多変量解析では高コレステロール値が独立危険因子であった(OR 1.014, 95%CI 1.003-1.026, p=0.03). 膵液瘻群で, 炎症反応は術後3日目のCRP値(cut-off:14.7mg/dl, AUC0.627, p=0.046), 術後6-7日目の白血球数(cut-off:9,835/ul, AUC0.75, p<0.001)とCRP値 (cut-off:5.8mg/dl, AUC0.78, p<0.001)が優位に高値で, 在院日数も中央値52日で, 非膵液瘻群の20日に比べて優位に延長していた. さらにgrade Bの34例を対象として, Clavian-Dindo (CD)-Ⅱ(抗生剤治療のみ)の15例と, CD-Ⅲa(ドレナージ施行)の19例を比較したところ, 在院日数はCD-Ⅱ群26日と比べて, CD-Ⅲa群54日と優位に延長されていたが, 2群間に術後炎症反応に有意差を認めなかった. そこで膵断端貯留液のドレナージを施行した22例を対象として, 非感染性貯留液15例と, 感染性貯留液7例を比較したところ, 在院日数はそれぞれ57, 55日と有意差は認めなかったが, 感染性貯留液群で術後6-7日目の白血球数(cut-off:11,170/ul, AUC0.87, p=0.01), CRP値(cut-off:14.0mg/dl, AUC0.83, p=0.025)と貯留液部CT値(cut-off:22.7HU, AUC0.77, p=0.045)が優位に高値であった.
【結 語】尾側膵切除後の臨床的に問題となる膵液瘻は術前栄養状態の良好なものに発生しやすく, 術後早期からCRPが高値で, かつ膵断端貯留液CT値が20HU以上の高値なものは, 膵液瘻, 特に感染性膵液瘻の可能性が高く, 経皮的ドレナージが必要と考えられた.
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