演題

RS1-9-7-5

横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術の工夫

[演者] 西澤 雄介:1
[著者] 高野 道俊:1, 竹ノ谷 隆:1, 西村 洋治:1, 風間 伸介:1, 石井 博章:1
1:埼玉県立がんセンター 消化器外科

【はじめに】
日本の進行大腸癌に対する基本手術手技はD3郭清である.直腸癌に対して我々が行う「D3郭清」には,Healdが提唱したTotal Mesorectal excision(TME)における'Holy Plane'を順守した間膜全切除を内包するものと理解される.D3郭清はJapanese D3と呼ばれ,欧米においても認識されつつある.
一方欧州では結腸癌に対して,TMEと同じコンセプトであるcomplete mesocolic excision(CME) がHohenbergerにより提唱された.さらに支配血管を根部で結紮するcentral vascular ligation(CVL)手技とともに,欧州におけるCME+CVLとJapanese D3は同じコンセプトとして評価され,結腸癌に対する手術手技に対し新たな側面から注目がされている.
【目的】
進行横行結腸癌に対する腹腔鏡下D3として,中結腸動脈(MCA)根部郭清を直接的に行うcentral approachによる郭清と,欧州におけるCME+CVLとの違いを明らかにする.
【方法と対象】
郭清手技の違いを,郭清リンパ節個数および実際の手技を供覧し比較する.CME+CVLとD3を比較した既報手術成績に対し,腹腔鏡下D3郭清を行った37例を対象とした.
【結果】
横行結腸癌に対する開腹CME+CVL(欧州単施設,n=34),開腹D3(日本国内2施設,n=12)における郭清リンパ節個数中央値,interquartile range(IQR)はそれぞれ36(IQR:29-44),20(IQR:15-30)に対し,腹腔鏡下D3は21(IQR:11-28)であった.また,横行結腸の発生学的支配血管である上腸間膜動静脈を含めた間膜授動は外側アプローチでは可能であるものの,MCAVに直接郭清を行う手技では厳密な意味ではことなり,CME+CVLはjapaneseD3とは異なる手技といえる.
【考察】
いわゆる10cmルールによる日本での横行結腸癌手術と,欧州で行われる横行結腸切除では切除範囲が異なり,郭清リンパ節個数は開腹手術,腹腔鏡手術ともに少ない結果であった.一方でD3郭清においては開腹手術と腹腔鏡手術において差は認めなった.
腹腔鏡下D3郭清において臓側腹膜を膵前面で切離するポイントは,発生学的な間膜構造を理解するうえでも需要と考えられ,実際の手技を供覧する.
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