演題

RS1-9-7-2

腹腔鏡下横行結腸切除術の定型化と新たな取り組み

[演者] 馬場 研二:1
[著者] 盛 真一郎:1, 喜多 芳昭:1, 伊地知 徹也:1, 有上 貴明:1, 内門 泰斗:1, 上之園 芳一:1, 迫田 雅彦:1, 前村 公成:1, 夏越 祥次:1
1:鹿児島大学大学院 消化器・乳腺甲状腺外科学

中結腸動脈や胃結腸静脈幹などの血管走行の多彩なバリエーションや,膵臓や十二指腸などの近接臓器の存在などにより,腹腔鏡下横行結腸切除術は難易度が高いとされている.安全な手術のためには正しい解剖の理解と,定型的な手術戦略が重要である.当科では2010年より,complete mesocolic excision (CME)に遵守した腹腔鏡下横行結腸切除を行っているので,その手術手技を供覧する.5ポートで,助手は横行結腸間膜をつい立状に展開し,術者は十二指腸水平部の下縁レベルから腹膜を切離し,内側アプローチを開始する.発生に基づいた剥離を意識し,内側では横行血腸間膜と膵前筋膜間を,外側では後腹膜下筋膜前面でToldt癒合筋膜を剥離する.SMV前面の剥離を行った後に,中結腸動脈周囲のリンパ節郭清を行う.腫瘍の局在と進行度に応じて支配動脈を根部で切離する.次に横行結腸間膜の頭側操作へ術野を展開.網嚢を開放し,結腸の受動のため脾曲及び肝曲を剥離する.その後正中に戻り,膵下縁で横行結腸間膜頭側の腹膜を切離し,SMV前面を露出.胃結腸静脈幹,副右結腸静脈をそれぞれ切離する.臍部5cmの小開腹創より腸管挙上し,体外にて切除吻合する.本アプローチをこれまで24例施行し,平均手術時間274分,平均出血量41ml,平均リンパ節郭清個数は18.3個,術後合併症は2例(術後出血と肺炎)であった.また,2015年よりstageI結腸癌に限定し体内吻合を導入し,横行結腸体内吻合を2例経験した.前述のアプローチ同様にD2リンパ節郭清を行うが,大きな違いは,脾曲・肝曲の受動を行わず,体内で切除範囲を決定し腸間膜を処理した後に,エンドステイプラーを用いて腸管切離,機能的端々吻合を行う手技である.吻合の際,腸管血流評価のため蛍光内視鏡下にICGを静注,血流良好な腸管で吻合した.また2.5cm皮切で標本摘出可能であった.平均手術時間は321分,平均出血量22ml,平均リンパ節郭清個数19.5個,術後合併症は認めなかった.腹腔鏡下横行結腸切除術は定型化することで安全な手術が可能であった.早期横行結腸癌に対する体内吻合は,剥離範囲及び皮切の縮小が得られ,更なる低侵襲性が期待される.
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