演題

RS1-9-7-1

横行結腸癌に対する頭側アプローチ先行による腹腔鏡下結腸右半切除の定型化

[演者] 岩本 哲好:1
[著者] 尾地 伸悟:1, 石塚 純平:1, 福垣 篤:1, 小原 和弘:1, 金城 洋介:1, 小河 靖昌:1, 松下 貴和:1, 佐藤 誠二:1, 和田 康雄:1
1:姫路医療センター 外科

【諸言】横行結腸癌に対する腹腔鏡下結腸右半切除術は難易度が高いとされているが,その要因の一つとして,Complete Mesenteric Excision(CME)を行うためには胃結腸静脈幹の剥離や中結腸動脈根部周囲の郭清が必要であることが挙げられる.この部位は十二指腸・膵臓・上腸間膜動静脈など重要臓器が3次元的に隣接する複雑な解剖学的特性があることに加え,血管の分岐形態の多様性が多いことにより手術手技の定型化が難しい.当院では腹腔鏡下結腸右半切除において,CMEを確実・安全に行うために,頭側アプローチを先行する手技を定型化している.
【手術】5ポートで,術者が操作する患者左側のポートはやや頭側に配置する.大網を切離して網嚢を開放し,胃結腸間膜の切離を右側に進めて結腸肝彎曲を授動する.右胃大網動静脈のpedicleを助手の鉗子で頭側に牽引しながら横行結腸間膜を足側に展開し,上腸間膜静脈に流入する胃結腸静脈幹を同定.その分岐形態を確認して副右結腸静脈,中結腸静脈を切離し,横行結腸間膜右側を十分に授動する.中結腸動脈はその視野での血管処理は行わず膵下縁をランドマークとして郭清の上縁を決めておくにとどめている.その後,内側アプローチに移り足側からsurgical trunkの剥離を行うと容易に頭側アプローチの剥離層と連続する.最後に中結腸動脈を腫瘍との位置関係で任意の部位で切離し,D3郭清とする.
【成績】上記の定型化した手技で2014年10月から2016年11月までに腹腔鏡下結腸右半切除を20例(横行結腸癌12例,遠位上行結腸癌8例)に施行した.患者の平均年齢は72歳(53-86),男/女は7/13例,Stage I/II/III/IVは4/13/2/1例であった.術中MCA切離は右枝/根部で16/4例,平均手術時間は215分(122-331),平均出血量は10ml(0-113)で開腹移行はなかった.総郭清リンパ節個数平均は40個(15-88),転移を認めたリンパ節は#211:1例,#221:2例,#212:1例で3群リンパ節への転移は認めなかった.術後合併症として十二指腸蠕動不良,誤嚥性肺炎を1例ずつ認め,術後在院日数の平均は10日(6-20)であった.
【結論】横行結腸癌に対する腹腔鏡下結腸右半切除では,頭側アプローチを先行することで血管分岐の多様性や隣接臓器温存に対応しやすく,手技が定型化できるため確実で安全なCMEが可能となる.
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